2026年9月19日

「視界がなんとなく白くかすむ」「夜間のライトが以前よりまぶしく感じる」といった見え方の変化はありませんか。こうした症状は、目の疲れだけではなく、白内障によって現れる場合もあります。
白内障は高齢者の病気というイメージがありますが、比較的若い年代でも発症することがある病気です。年齢のせいだと自己判断せず、見え方の変化に気を配ることが大切でしょう。
本記事では、白内障は何歳から増えるのか、年代別の発症傾向や若い世代で発症する原因を解説します。老眼との違いや手術を検討するタイミング、進行した場合のリスクについても紹介するので、目の健康が気になる方はぜひ参考になさってください。
【この記事で分かること】
- 白内障は加齢とともに増える一方、加齢以外の原因で若い世代に発症する場合もある
- 老眼はピント調節機能の低下、白内障は水晶体の濁りによって見え方が変化する
- 白内障手術を受ける時期は、年齢だけではなく日常生活への影響を踏まえて検討する
- 白内障が進行すると、手術や他の眼疾患の診察、日常生活に影響する場合がある
白内障とは?
白内障とは、目の中にある「水晶体」が濁ることで、視機能が低下する病気です。水晶体はカメラのレンズのような役割を担っており、本来は透明な組織です。
目に入った光は水晶体で屈折し、眼球の奥にある網膜に像を結びます。しかし、水晶体を構成するタンパク質が変性して濁ると、光が通りにくくなったり散乱したりします。その結果、視界のかすみやまぶしさ、視力低下などが生じるという仕組みです。
白内障の主な原因は加齢ですが、糖尿病やアトピー性皮膚炎、外傷なども進行に関係します。また、ステロイドなどの薬剤が影響する場合もあるため、若い世代でも注意が必要です。
白内障の進行を遅らせるための点眼薬や内服薬はありますが、一度濁った水晶体を薬剤によって元の透明な状態に戻すことはできません。進行した場合には、濁った水晶体を取り除き、人工の眼内レンズを挿入する手術が主な治療となります。
白内障は何歳から始まる? 年代別の発症傾向
白内障は加齢との関連が深く、年齢を重ねるにつれて増える傾向があります。ただし、発症する年齢や進行の程度には個人差があります。ここでは、40代・50代と60代以降に分けて、年代別の発症傾向を見ていきましょう。
40代・50代における発症傾向
白内障は高齢者だけに見られる病気ではありません。40代・50代でも、水晶体に白内障による変化が認められる場合があります。
初期の白内障は、自覚症状がないまま進行することがあります。水晶体の濁りが生じる位置によっては、見え方への影響を感じにくい場合もあるでしょう。そのため「まだ若いから白内障ではない」と年齢だけで判断するのは避けることが大切です。
白内障の進行速度や濁り方には個人差があります。視界のかすみやまぶしさなどを感じた場合は、眼科で目の状態を確認しましょう。
60代・70代・80代以降の発症傾向
白内障は、年齢を重ねるにつれて認められる割合が高くなります。60代以降では、加齢に伴う水晶体の変化が進み、白内障がより身近な病気になります。
白内障は徐々に進行し、濁りの程度や位置によって症状の現れ方が異なる病気です。進行すると、かすみやまぶしさ、視力低下などを感じる場合があります。読書や運転など、日常生活に支障が生じるケースもあるでしょう。
ただし、同じ年代でも白内障の程度や自覚症状には個人差があります。年齢だけで治療の必要性を判断せず、進行の程度や生活への影響を踏まえて検討することが大切です。
若い世代でも白内障を発症する主な原因
白内障は加齢に伴って生じるものだけではありません。アトピー性皮膚炎や糖尿病、ステロイド薬、外傷などが関係し、若い世代でも発症する場合があります。ここでは、加齢以外の主な原因を解説します。
アトピー性皮膚炎による影響
アトピー性皮膚炎は、白内障の発症に関係する要因の一つです。比較的若い年代でも、白内障を発症する場合があります。
アトピー性皮膚炎では、かゆみによって目をこすることがあります。こうした刺激などが、白内障の発症に関係する可能性も指摘されています。ステロイド薬の使用が関連する場合もあるため、原因を一つに限定することはできません。
見え方に変化を感じたときは、皮膚症状だけではなく目の状態にも注意しましょう。必要に応じて眼科を受診し、水晶体の状態を確認することが大切です。
糖尿病による合併症
糖尿病も、白内障の発症や進行に関係する疾患の一つです。血糖値が高い状態が続くと、水晶体の濁りが進みやすくなるとされています。
糖尿病に関連する白内障では、発症年齢が早まったり、進行が速くなったりする場合があります。そのため、年齢が若くても見え方に変化があれば注意が必要でしょう。
糖尿病がある方は、白内障だけに目を向けるのではなく、血糖を適切に管理することも重要です。治療を継続しながら、眼科でも目の状態を確認してください。
ステロイド薬の長期使用による副作用
ステロイド薬は、さまざまな疾患の治療に用いられる薬剤です。一方で、使用に伴って白内障が進行する場合があります。
他の疾患の治療でステロイド薬を長期間使用している場合は、副作用として白内障が現れる可能性があります。アトピー性皮膚炎のある方でも、ステロイド薬の使用が白内障につながる恐れがあります。
ただし、白内障が心配だからといって、自己判断で薬を減量・中止してはいけません。気になる見え方の変化がある場合は、処方した医師に相談するとともに、眼科で目の状態を確認しましょう。
目に強い衝撃を受けたことによる外傷
目の外傷が原因となり「外傷性白内障」を発症する場合があります。打撲やけがなどで目に強い衝撃を受けると、水晶体が傷ついて濁ることがあるためです。
外傷性白内障は加齢によるものではないため、若い世代でも発症する可能性があります。ただし、目に衝撃を受けたからといって、必ず白内障になるわけではありません。
目を強く打った後に見え方の異常を感じた場合は、自己判断で様子を見続けないことが大切です。白内障以外の問題も考えられるため、眼科を受診して目の状態を確認してください。
白内障と老眼の主な違い
白内障と老眼は、どちらも加齢に伴って生じやすい目の変化です。ただし、老眼はピントを合わせる調節力の低下、白内障は水晶体の濁りによって起こります。それぞれの違いを詳しく見ていきましょう。
老眼はピント調節機能の低下
老眼は、加齢に伴って目の調節力が低下し、近くにピントを合わせにくくなる状態です。主に水晶体の弾力性が低下し、近くを見る際に必要な形状変化が起こりにくくなることが関係しています。
そのため、手元の文字が見えにくい、近くを見ると疲れやすいといった症状が現れる場合があります。近くのものを少し離すと、見やすくなることもあるでしょう。
老眼による見えにくさは、老眼鏡や眼鏡、コンタクトレンズなどで補うことが可能です。ただし、もともとの近視や遠視などによっても、見え方や老眼の感じ方は異なります。
白内障は水晶体の濁り
白内障は、目の中でレンズの役割を担う水晶体が濁る疾患です。老眼のような調節力の低下とは、見えにくさが生じる仕組みが異なります。
水晶体が濁ると、目に入った光が通りにくくなったり、散乱したりします。そのため、視界のかすみやまぶしさなどを感じる場合があるでしょう。また、コントラストや色の見え方に変化が生じることもあります。
白内障の症状は、濁りの位置や程度などによってさまざまです。眼鏡の度数を調整しても、白内障による見えにくさを十分に補えない場合があります。
見逃しやすい初期症状とセルフチェック項目
白内障はゆっくり進行し、痛みを伴わないことがあります。そのため、初期の変化を疲れ目や年齢のせいだと考え、見過ごしてしまう場合もあるでしょう。
白内障で見られる場合がある症状は、以下の通りです。
- 視界がかすんで見える
- 晴れた日の屋外で強いまぶしさを感じる
- 夜間に車のヘッドライトがまぶしく感じる
- 片目で見ても物が二重・三重に見える
- 眼鏡の度数を調整しても見えにくい
- 暗い場所や夕方になると見えにくい
白内障の症状は、濁りの位置や程度によって異なります。また、こうした症状があっても白内障とは限りません。
セルフチェックは診断ではなく、目の変化に気付くための目安です。気になる症状が続く場合は、自己判断せず眼科で状態を確認しましょう。
白内障手術を受ける適切な年齢とタイミング
白内障手術には「何歳になったら受ける」という一律の年齢基準はありません。見え方や白内障の進行程度、日常生活への影響などを踏まえて検討します。ここでは、手術を受ける年代の傾向と、検討する目安を解説します。
手術を受ける年齢の考え方
白内障は加齢とともに発症する割合が高くなるため、手術も高齢になってから受けるケースがあります。一方で、年齢だけを基準に手術時期を決めるものではありません。
例えば、仕事や運転などで見え方に不便を感じていれば、比較的早い年代で手術を検討する場合があります。反対に、高齢でも生活への支障が少なければ、経過を確認しながら手術時期を検討することもあります。
また、高齢者の場合は、目の状態だけではなく全身状態などの確認も必要です。手術の可否や時期は年齢だけで判断せず、眼科医と相談して決めることが大切です。
手術を検討するべき見え方の目安
白内障手術を検討する際は、視力の数値だけではなく、日常生活で感じる不自由さも重要な判断材料です。同じ視力でも、仕事や生活環境によって必要とする見え方は異なります。
例えば、以下のような変化がある場合は、手術を検討するきっかけになるでしょう。
- 眼鏡を調整しても見えにくい
- 書類やパソコンの文字が読みづらい
- まぶしさによって運転しづらい
- 標識や周囲の状況を確認しにくい
- 趣味や日常生活に支障を感じる
ただし、見えにくさの原因が白内障とは限りません。手術の必要性は、白内障の程度や他の眼疾患の有無なども確認して判断します。
仕事や運転、趣味などのライフスタイルも眼科医に伝え、ご自身に合った手術時期を相談しましょう。
白内障の治療を受けずに放置する主なリスク
白内障を進行したまま長期間放置すると、手術や他の眼疾患の検査に影響する場合があります。また、見えにくさによって転倒や事故のリスクが高まる可能性もあります。進行状況を確認しながら、治療時期を検討することが大切です。
水晶体が硬くなり手術の難易度が上がる
白内障が高度に進行すると、水晶体の核が硬くなる場合があります。
白内障手術では、超音波で水晶体を砕いて吸引する「超音波乳化吸引術」が行われるのが一般的です。水晶体の核が硬い場合は、処理する際の負担が大きくなり、手術の難易度が高まる可能性があります。
ただし、高度に進行していても、直ちに手術ができなくなるわけではありません。
白内障の状態は術前検査で確認します。見え方や生活への支障も踏まえ、眼科医と手術時期を相談しましょう。
緑内障など他の眼疾患を併発・見逃す恐れがある
白内障が高度に進行すると、水晶体の変化に伴って眼圧が上昇する場合があります。ただし、全ての白内障で眼圧上昇が起こるわけではありません。
また、水晶体の濁りが強くなると、眼底を観察しにくくなることがあります。その結果、網膜や視神経など、目の奥にある組織の状態を評価しづらくなるケースも考えられます。
これは、白内障が緑内障などを直接引き起こすという意味ではありません。併存する他の眼疾患を確認する上で、水晶体の濁りが影響する可能性があるということです。
白内障だけではなく、目全体の状態を確認するためにも、定期的に眼科を受診しましょう。
転倒や事故によるけがの不安が高まる
白内障によるかすみやまぶしさなどは、日常生活の安全性に影響する場合があります。段差や周囲の状況を把握しにくくなれば、転倒につながる可能性もあるでしょう。
特に高齢者では、転倒によって骨折などのけがにつながることがあります。また、まぶしさや見えにくさによって、夜間の運転に支障が生じる場合もあります。
ただし、転倒や交通事故にはさまざまな要因が関係します。白内障があるからといって、必ず転倒や事故につながるわけではありません。
見え方が外出や運転などに影響している場合は、我慢せず眼科で状態を確認してください。生活への支障も伝えた上で、治療時期について相談することが大切です。
日常生活で取り組める進行予防の工夫
加齢による水晶体の変化を完全に防ぐ方法はありません。一方、白内障に関連する生活上の要因を見直すことは大切です。
例えば、外出時にはUVカット機能のあるサングラスや帽子を活用し、紫外線から目を守りましょう。また、喫煙を避け、野菜や果物を取り入れたバランスの良い食生活を心掛けることも、健康管理の一環となります。
糖尿病などの基礎疾患がある場合は、適切な治療を続けることも重要です。ただし、生活習慣の改善だけで白内障を予防・治療できるわけではありません。
見え方に変化を感じた場合は、自己判断せず眼科で目の状態を確認しましょう。
まとめ
白内障は加齢との関連が深い一方、基礎疾患や薬剤、外傷などに伴って若い世代でも発症する場合があります。老眼とは異なり、水晶体の濁りによって見え方に影響が生じる疾患です。
手術を受ける時期は、年齢だけで決まるものではありません。見え方や仕事、運転などへの
影響を踏まえ、眼科医と相談して検討します。
白内障が高度に進行すると、手術や他の眼疾患の評価に影響する場合もあります。見え方に違和感がある場合は、眼科で状態を確認することが大切です。
秋葉原白内障クリニックおよび分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所https://takanawagateway-eye.com/では、白内障の日帰り手術や専門外来などに対応しています。見え方に不安がある方は、お気軽にご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
本院・秋葉原白内障クリニックと分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所にて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

