2026年10月10日

「白内障と緑内障の両方がある場合、どちらから治療するのだろう」「手術はどのように進めるのだろう」と、不安を感じている方もいるでしょう。
両方の疾患がある場合、治療の進め方について疑問を抱くこともあるかもしれません。目の状態に合った治療を検討するには、それぞれの特徴や治療の考え方を知っておくことが大切です。
本記事では、白内障と緑内障の違いや関係性、併発時の治療の順番について解説します。同時手術の仕組みや眼内レンズを選ぶ際の考え方も紹介するので、治療方針を医師と相談する際の参考になさってください。
【この記事で分かること】
- 白内障は水晶体、緑内障は視神経に関わる疾患で、治療の目的も異なる
- 両疾患を併発した場合の治療の順番は、目の状態などを踏まえて検討する
- 条件によっては、白内障手術と緑内障手術を同時に行う方法も選択肢となる
- 眼内レンズは、緑内障の状態や見え方への影響も考慮して選択する
白内障と緑内障の違いとは?
白内障は眼の中にある水晶体が濁る病気です。一方、緑内障は視神経が障害され、視野が狭くなる病気を指します。
両者は障害される部位だけではなく、治療の目的にも違いがあります。それぞれの特徴を詳しく見ていきましょう。
白内障は「水晶体」が濁る病気
白内障とは、眼の中でレンズの役割を担う水晶体が濁る病気です。主な原因は加齢とされています。
水晶体が濁ると光が通りにくくなり、視界のかすみやまぶしさ、視力低下などが現れます。見え方への影響には個人差があるため、状態に応じて治療を検討することが大切です。
白内障が進行した場合は、濁った水晶体を取り除く手術が行われます。その後、水晶体の代わりとなる人工の眼内レンズを挿入する方法です。
白内障による見えづらさは、手術によって改善が期待できます。一方、緑内障では治療の目的が異なります。
緑内障は「視神経」が障害される病気
緑内障とは、眼から得た情報を脳へ伝える視神経が障害される病気です。視神経の障害に伴い、視野が狭くなるなどの変化が生じます。
眼圧は、緑内障の発症や進行に関わる要因の一つです。一方で、眼圧が正常範囲でも発症する正常眼圧緑内障もあります。
初期には自覚症状に乏しく、異変に気付かないまま進行することがあるため注意が必要です。一度失われた視野を元の状態に戻すことは難しいとされています。 そのため、緑内障では眼圧を下げ、視野障害の進行を抑えることが治療の基本です。残っている視機能を守るためにも、早期発見と継続的な治療が重要です。
白内障と緑内障が同時に起こりやすい理由
白内障と緑内障は異なる病気ですが、いずれも加齢と関連して発症する人が増える疾患です。そのため、同じ人に併発する場合があります。
また白内障の進行に伴う水晶体の変化が、眼圧の上昇に関係するケースもあります。ここでは、両疾患が併発する背景を詳しく見ていきましょう。
加齢による発症リスクの重なり
白内障と緑内障は、どちらも年齢を重ねるにつれて発症する人が増える疾患です。加齢という共通の背景があるため、両疾患を併発する場合があります。
一方で、両者では現れやすい見え方の変化が異なります。白内障では、視界のかすみや視力低下などが生じるのが特徴です。
緑内障は初期には自覚症状に乏しく、本人が異変に気付いていないケースもあります。そのため、白内障による見え方の変化をきっかけに受診し、検査で緑内障が見つかる場合もあるでしょう。
両疾患の状態を把握するためには、自覚症状だけではなく、眼科で必要な検査を受けることが大切です。
白内障の進行が緑内障を誘発する可能性
白内障と緑内障は、加齢を背景にそれぞれ発症するだけではありません。白内障の進行に伴う水晶体の変化が、緑内障に関係する場合もあります。
水晶体の状態によっては、眼内を循環する房水の流れが妨げられることがあります。房水を排出しにくくなると眼圧が上昇し、閉塞隅角緑内障につながる恐れがあるため注意が必要です。
急激に眼圧が上昇する急性緑内障発作では、強い眼痛や充血などが生じることがあります。頭痛や吐き気などを伴うケースもあるため、こうした症状が現れた場合は速やかな受診が必要です。
全ての白内障で起こるわけではありませんが、白内障を放置せず、眼科で状態を確認しておきましょう。
白内障と緑内障を併発した場合の治療の優先順位
白内障と緑内障を併発した場合、治療の順番は目の状態によって異なります。
場合によっては、白内障手術と緑内障手術を同時に行うこともあります。ここでは、状態に応じた治療の考え方を見ていきましょう。
緑内障が軽度〜中等度の場合は白内障手術を先行
緑内障が比較的軽度の場合は、白内障手術を先に行うことが検討されます。白内障手術と緑内障手術を同時に行う方法も選択肢の一つです。
白内障手術では、濁った水晶体を取り除き、眼内レンズに置き換えます。水晶体を取り除くことで隅角が広がり、眼圧に良い影響を与える場合があります。
ただし、白内障手術は緑内障そのものを治す手術ではありません。術後も眼圧や視神経、視野の状態を確認しながら、緑内障の治療を続けることが大切です。 また術後の眼圧によっては、緑内障点眼薬の使用状況を見直せる場合があります。治療方針は、緑内障の病型や進行度などを踏まえて判断します。
緑内障が進行している場合は眼圧コントロールを優先
緑内障が進行している場合は、眼圧を下げて視野障害の進行を抑えることが重要です。一度障害された視神経を元の状態に戻すことは難しいとされています。
そのため、残っている視機能を守ることを目的に治療を進めます。緑内障の状態に応じて、点眼薬やレーザー治療、手術療法などが検討されるのが一般的です。
どの治療を選択するかは、眼圧だけで決まるものではありません。緑内障の病型や程度、視野や視神経の状態、全身状態なども考慮します。
白内障を併発している場合には、両方の状態を確認した上で治療方針を決めることが大切です。目の状態によっては、白内障と緑内障の同時手術も検討されます。
白内障と緑内障の同時手術とは?
白内障と緑内障を併発している場合、同じ機会に両方の手術を行う方法があります。白内障手術に加え、眼圧を下げるための緑内障手術を組み合わせる治療です。
適する術式や眼内レンズは、緑内障の進行度や目の状態によって異なります。ここでは、同時手術の方法と眼内レンズ選びについて解説します。
同時手術の具体的な治療方法
白内障手術では、濁った水晶体を細かく砕いて吸引します。その後、水晶体の代わりとなる眼内レンズを挿入する方法です。
白内障と緑内障の同時手術では、眼圧を下げるための緑内障手術も併せて行います。選択肢の一つが、低侵襲緑内障手術(MIGS)です。
MIGSには、房水の流出路に微小なステントを留置するiStentがあります。また線維柱帯を切開し、房水の流れを改善する方法も選択肢です。
適する術式は、緑内障の病型や進行度などによって異なります。同時手術後も、眼圧や視野の状態を継続して確認することが大切です。
眼内レンズの選択肢と注意点
白内障手術で使用する眼内レンズには、単焦点眼内レンズや多焦点眼内レンズなどがあります。乱視がある場合には、トーリック眼内レンズも選択肢の一つです。
単焦点眼内レンズは、特定の距離にピントを合わせます。一方、多焦点眼内レンズは、複数の距離にピントが合うよう設計されたレンズです。
ただし、緑内障を併発している場合は、多焦点眼内レンズの適応を慎重に検討します。多焦点眼内レンズでは、コントラスト感度が低下する場合があるためです。
緑内障による視野障害などがあると、術後の見え方に影響する可能性があります。進行度や視野の状態、希望する見え方などを踏まえ、医師と相談して選択しましょう。
まとめ
白内障と緑内障では、病気の仕組みや治療の目的が異なります。併発した場合は、眼圧や進行度などを確認して治療方針を決めることが重要です。
目の状態によっては、白内障手術と緑内障手術を同時に行う方法も選択肢となります。ただし、適する術式や眼内レンズは患者さまごとに異なります。
秋葉原白内障クリニックでは、エキスパート医師による緑内障専門外来を設け、目の状態を確認した上で適した治療方法をご提案します。どうぞお気軽にご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
本院・秋葉原白内障クリニックと分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所にて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

