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糖尿病だと白内障手術はできない? 手術の基準や合併症リスク・注意点を解説

2026年7月02日

糖尿病だと白内障手術はできない? 手術の基準や合併症リスク・注意点を解説

「糖尿病だと白内障手術は受けられないのではないか」と不安に感じている方もいるのではないでしょうか。

糖尿病患者の方でも、血糖コントロールや全身状態が安定していれば、白内障手術を受けられる場合があります。ただし、糖尿病網膜症などの合併症や血糖管理の状況によっては、慎重な判断が必要です。

本記事では、白内障手術を受ける際の判断の目安や注意点、手術延期が検討されるケース、糖尿病と白内障の関係などを解説します。視力低下に悩む方やご家族は、ぜひ参考にしてください。

【この記事で分かること】

  • 糖尿病があっても白内障手術を受けられる条件
  • 糖尿病患者が白内障手術を受ける際のリスクや注意点
  • 糖尿病性白内障の症状・予防法と糖尿病網膜症との関係

糖尿病があっても白内障手術は受けられる?

糖尿病と診断されている方の中には、白内障手術を受けられるのか不安に感じている方もいるでしょう。

糖尿病があること自体は、白内障手術を受けられない理由にはなりません。ただし、血糖コントロールや糖尿病網膜症の有無などを確認した上で、総合的に判断する必要があります。

ここでは、糖尿病患者の方が白内障手術を受ける際の条件や注意点について解説します。

血糖コントロールが安定していれば手術可能

糖尿病患者の方でも、血糖コントロールが良好で全身状態が安定していれば、白内障手術を受けられる場合がほとんどです。

現在の白内障手術は局所麻酔で行われることが一般的です。手術時間も比較的短く、体への負担は大きくありません。

一方で、糖尿病の状態によっては慎重な評価が必要になります。術前には血糖値だけではなく、糖尿病網膜症の有無や高血圧、腎機能障害などの合併症も確認します。

また、眼科だけで治療方針を決定するわけではありません。必要に応じて内科の主治医と連携しながら、手術の可否や実施時期を検討します。

手術後も継続した血糖管理が重要です。良好な経過を維持するためにも、内科と眼科の両方で定期的な診察を受けましょう。

手術前に必要な血糖値(HbA1c)の目安

白内障手術を安全に行うためには、術前の血糖コントロールが重要です。その指標としてよく用いられるのがHbA1cです。

HbA1cは、過去1~2カ月程度の平均的な血糖状態を反映する検査値を指します。一般的には、HbA1cを7.0%前後に維持することが望ましいとされています。

また、医療機関によっては8.0%以下を目安としている場合もあります。ただし、これはあくまで一般的な目安です。年齢や合併症の有無などによって判断は異なります。

HbA1cが高い状態では、術後感染症のリスクが高まる可能性があります。傷の治りが遅くなったり、炎症が強く出たりする場合もあるでしょう。 そのため、手術直前だけ血糖値を下げるのではなく、日頃から安定した血糖管理を続けることが大切です。

手術の延期が必要になるケース

糖尿病患者の方の中には、すぐに白内障手術を受けられない場合もあります。

代表的な例が、HbA1cが著しく高いケースです。高血糖状態では感染症や術後合併症のリスクが高まるため、まずは血糖コントロールの改善を優先することがあります。

また、重度の糖尿病網膜症が進行している場合も慎重な判断が必要です。網膜症による視力低下が主な原因であれば、白内障手術だけでは十分な視力改善が得られない可能性があります。

糖尿病黄斑浮腫を伴うケースでは、視力に大きな影響が出ることも少なくありません。その場合は、レーザー治療や硝子体内注射などの網膜症治療を先に行うことがあります。

手術の延期は「手術できない」という意味ではありません。安全性を高め、術後の視力回復を目指すための判断といえるでしょう。

糖尿病患者が白内障手術を受ける際のリスク・注意点

糖尿病患者の方の白内障手術では、血糖管理だけではなく術後合併症にも注意が必要です。

ただし、適切な術前評価と術後管理を行えば、手術を受けられる可能性もあります。ここでは、糖尿病患者の方が知っておきたい主なリスクと注意点を解説します。

術後の感染症や炎症が起こるリスク

糖尿病患者の方では、高血糖の影響によって免疫機能が低下しやすいとされています。そのため、白内障手術後に感染症や炎症が起こるリスクが高まる可能性があります。

特に注意したいのが細菌性眼内炎です。眼内炎はまれな合併症ですが、重症化すると視力に大きな影響を与えることがあります。また、高血糖状態では傷の治りが遅くなる場合もあります。

こうしたリスクを軽減するためには、医師の指示通りに抗菌薬や抗炎症薬の点眼を続けることが重要です。自己判断で中止しないようにしましょう。

術後は次のような点にも注意が必要です。

  • 手洗いを徹底する
  • 目を強くこすらない
  • 処方された点眼薬を継続する
  • 通院スケジュールを守る

また、強い痛みや急激な視力低下が現れた場合は早めに受診してください。良好な血糖コントロールを維持することも、感染予防につながります。

網膜症の悪化による視力回復の遅れ

糖尿病患者の方では、白内障だけではなく網膜の状態も術後の見え方に大きく影響します。

白内障手術後には、黄斑浮腫が発生する場合があります。また、元々存在していた糖尿病網膜症が進行する可能性も否定できません。

網膜にダメージが蓄積している場合は注意が必要です。濁った水晶体を人工レンズに置き換えても、期待したほど視力が回復しないことがあります。

そのため、術前には網膜の状態を詳しく評価します。OCT検査などを用いて黄斑部の異常がないか確認することが一般的です。

さらに、糖尿病網膜症が進行している場合は、白内障手術と並行して治療を行うこともあります。

白内障が進行すると眼底の観察が難しくなります。網膜症を適切に管理するためにも、早めの受診と定期検査が大切です。

糖尿病患者の眼内レンズの選び方

白内障手術では、人工の眼内レンズを挿入します。糖尿病患者の方の場合は、眼底の状態を考慮したレンズ選びが重要です。

糖尿病網膜症などの合併症がなく、眼底の状態が良好であれば、多焦点眼内レンズを選択できる場合があります。多焦点眼内レンズには、術後の眼鏡への依存度を下げられる可能性があるという特徴があります。

一方で、糖尿病網膜症が進行している場合は単焦点眼内レンズが選択されることが少なくありません。単焦点眼内レンズはコントラスト感度の低下が少なく、比較的安定した見え方が期待できます。

それぞれの特徴をまとめると、以下の通りです。

  • 多焦点眼内レンズ:遠方から近方まで見やすく、眼鏡の使用頻度を減らせる可能性がある
  • 単焦点眼内レンズ:見え方が安定しやすく、網膜疾患がある方にも選択されやすい

なお、単焦点眼内レンズを選んだ場合は、見えにくい距離を眼鏡で補うことがあります。

どちらが適しているかは一人ひとり異なります。糖尿病網膜症の有無や将来的な進行リスク、ライフスタイルも考慮しながら、医師と十分に相談して決定することが大切です。

手術の視力回復を妨げる「糖尿病網膜症」にも注意

糖尿病患者の方が白内障手術を検討する際は、白内障だけではなく糖尿病網膜症の有無も確認する必要があります。

糖尿病網膜症は、糖尿病の三大合併症の一つです。高血糖の影響によって網膜の毛細血管が障害され、出血やむくみを引き起こします。

また、白内障が進行すると水晶体の濁りによって眼底が見えにくくなります。その結果、網膜症の発見が遅れる場合もあります。

糖尿病網膜症は初期の自覚症状が少ない病気です。気付かないまま進行すると、重度の視力障害につながる恐れがあります。一方で、早期発見と適切な治療によって進行を抑えられる可能性があります。

白内障手術の前には、網膜症の有無や進行度を確認することが重要です。視力を守るためにも、定期的な眼底検査を受けましょう。

糖尿病と白内障の深い関係とは?

糖尿病患者の方は、そうでない方と比べて白内障を発症しやすい傾向があります。

その背景には、高血糖が水晶体に与える影響があります。糖尿病では若い世代でも白内障を発症する場合があるため注意が必要です。

ここでは、糖尿病性白内障が起こる原因や、一般的な加齢性白内障との違いについて解説します。

糖尿病性白内障が起こる原因

糖尿病性白内障は、高血糖状態が長期間続くことで発症リスクが高まると考えられています。

高血糖になると、水晶体の中でブドウ糖の一部がソルビトールという糖アルコールに変化します。ソルビトールは水分を引き込む性質があり、水晶体の膨張や混濁を引き起こす原因の一つです。

その結果、水晶体の透明性が失われ、白内障が進行します。

また、糖尿病性白内障の発症にはソルビトールの蓄積だけではなく、酸化ストレスや糖化反応も関与しています。糖化反応によって生成されるAGEs(終末糖化産物)は、水晶体細胞の機能低下につながると考えられています。

こうした変化は長期間の高血糖によって進みやすくなるのが特徴です。白内障の予防や進行抑制のためにも、日頃から血糖コントロールを継続することが重要です。

加齢性白内障との違い(若年発症と進行の早さ)

一般的な加齢性白内障は、主に60代以降で発症し、年単位でゆっくり進行することが多いとされています。
 
一方で、糖尿病性白内障は20~40代でも発症する場合があります。また、血糖コントロールが不良な状態では、比較的短期間で進行するケースも報告されています。
 
加齢性白内障と糖尿病性白内障の主な違いは以下の通りです。

そのため、「まだ若いから白内障の心配はない」と考えるのは危険です。

視界のかすみや強いまぶしさを感じた場合は、早めに眼科を受診しましょう。糖尿病と診断されている方は、症状がなくても定期的に眼科検査を受けることをおすすめします。

糖尿病性白内障の主な症状と初期サイン

糖尿病性白内障では、見え方の変化が初期症状として現れることがあります。

症状は日常生活の中で気付きやすいものが多い一方、加齢による変化と区別しにくい場合もあります。放置すると徐々に進行する可能性があるため、気になる症状があれば早めに眼科を受診しましょう。

ここでは、糖尿病性白内障で見られる代表的な症状について解説します。

視界のかすみや強いまぶしさ

糖尿病性白内障の初期症状として多いのが、視界のかすみやまぶしさです。

水晶体が濁ることで光が乱反射し、景色が白っぽくかすんで見えることがあります。また、日中の屋外や照明の明るい場所で、以前よりまぶしさを強く感じる場合もあります。

特に夜間は注意が必要です。車のヘッドライトや街灯の光がにじんで見えたり、対向車のライトが必要以上にまぶしく感じられたりすることがあります。

さらに、テレビ画面の輪郭がぼやける、新聞や本の文字が読みづらくなるといった症状が現れることもあります。晴天時や逆光の環境では見えにくさが強くなるケースも少なくありません。

ただし、こうした症状は糖尿病網膜症やドライアイなどでも起こる可能性があります。症状だけで原因を判断せず、眼科で詳しい検査を受けることが大切です。

急激な視力の低下

糖尿病性白内障では、比較的短期間で視力が低下する場合があります。

眼鏡やコンタクトレンズの度数を調整しても見え方が改善しない、スマートフォンの文字が急に読みにくくなったと感じることもあるでしょう。また、テレビの字幕や道路標識が見えづらくなることもあります。

一般的な加齢性白内障はゆっくり進行することが多い一方、糖尿病性白内障では数週間から数カ月単位で症状が進むケースもあります。

ただし、急激な視力低下の原因は白内障だけではありません。糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫など、他の眼疾患が関係している可能性もあります。

「以前より見えにくくなった」「急に視力が落ちた気がする」と感じた場合は、疲れ目や加齢のせいと自己判断しないことが重要です。早めに眼科を受診し、原因を確認しましょう。

糖尿病性白内障の検査と手術前の初期治療

糖尿病性白内障では、白内障の進行度だけではなく、糖尿病網膜症などの合併症の有無も確認する必要があります。

また、症状や進行状況によっては、手術前に行う治療や全身管理が重要になる場合もあります。ここでは、手術の判断や進行抑制に関わる主な検査と治療について見ていきましょう。

網膜症の有無を調べるOCT・眼底検査

糖尿病患者の方の白内障診療では、水晶体の濁りを確認するだけでは十分ではありません。糖尿病網膜症や糖尿病黄斑浮腫の有無を調べるために、眼底検査やOCT(光干渉断層計)による精密検査を行います。

眼底検査では、網膜の出血や異常な血管の有無を確認します。一方、OCT検査では網膜の断面を詳細に観察できるため、肉眼では分かりにくい黄斑部のむくみなどを評価することも可能です。

糖尿病網膜症は初期症状が少ない病気です。そのため、自覚症状がなくても検査によって異常が見つかることがあります。

これらの検査結果は、手術の安全性や術後の視力回復の見込みを判断する重要な材料となります。必要に応じて網膜症の治療を優先することもあるため、術前の精密検査は欠かせません。

点眼薬で進行を遅らせる治療

白内障が発症して間もない段階では、点眼薬による治療が行われることがあります。

白内障治療に用いられる点眼薬は、水晶体に生じる酸化ストレスを抑えたり、タンパク質の変性を遅らせたりすることを目的に処方されるものです。そのため、白内障の進行を緩やかにする効果が期待されています。

ただし、点眼薬によって濁った水晶体が元の透明な状態に戻るわけではありません。また、進行した白内障を改善することも難しいため、あくまで進行抑制を目的とした治療になります。

そのため、点眼治療だけに頼るのではなく、良好な血糖コントロールを維持することが重要です。眼科での治療と糖尿病治療を並行して行うことで、目への負担を減らしやすくなります。

手術を見据えた眼科と内科の連携

糖尿病患者の方の白内障治療では、眼科と内科の連携が欠かせません。

白内障手術の可否や実施時期は、目の状態だけではなく血糖コントロールや全身状態にも大きく左右されます。そのため、眼科では内科主治医から糖尿病の治療状況や検査結果を共有してもらいながら治療方針を検討します。

例えば、HbA1cが高い状態にある場合は、まず内科で血糖コントロールの改善を優先することがあります。その後、全身状態が安定した段階で手術計画を立てる流れです。

また、高血圧や腎機能障害などの合併症がある場合も、複数の診療科が連携して管理を行います。

糖尿病患者の方の白内障手術では、目だけを見るのではなく全身の健康状態を含めて評価することが重要です。適切な連携体制によって、より安全な治療につながります。

糖尿病性白内障を防ぐ・進行を遅らせる日常のケア

糖尿病性白内障は、日々の血糖管理や生活習慣の影響を受ける疾患です。

発症リスクの低減や進行抑制のためには、継続的な自己管理が欠かせません。また、これらの取り組みは糖尿病網膜症などの合併症予防にもつながります。

ここでは、日常生活で実践できる主な対策について解説します。

徹底した血糖コントロール

糖尿病性白内障の発症予防や進行抑制には、良好な血糖コントロールが重要です。

血糖管理の基本となるのは、食事療法・運動療法・適切な服薬です。一般的にはHbA1cを7.0%前後に維持することが目標の一つとされています。ただし、年齢や病状によって目標値は異なるため、主治医の指示に従うことが大切です。

また、平均的な血糖値だけではなく、血糖値の急激な変動を抑えることも重要です。

高血糖状態が続くと、水晶体へのソルビトールの蓄積や酸化ストレスの増加につながる可能性があります。その結果、白内障の進行を促す要因になることがあります。

さらに、良好な血糖管理は白内障だけではなく、糖尿病網膜症や糖尿病腎症などの合併症予防にも役立ちます。

短期間だけ頑張るのではなく、医師や管理栄養士と相談しながら長期的に継続することが重要です。

定期的な眼科検診の受診

糖尿病と診断された方は、自覚症状がなくても定期的に眼科を受診することが推奨されています。

白内障や糖尿病網膜症は、初期には症状がほとんど現れないことがあります。「見えているから大丈夫」と考えてしまうと、発見が遅れる可能性もあるでしょう。

一般的には、半年に1回から年に1回程度の受診が目安です。ただし、糖尿病網膜症の進行状況などによっては、より頻繁な通院が必要になる場合もあります。

眼科では、眼底検査やOCT検査などを行い、水晶体や網膜の状態を確認します。こうした検査によって異常を早期に発見できれば、適切なタイミングで治療を開始しやすくなります。

視力を長く守るためには、症状の有無に関わらず定期検診を継続することが大切です。

紫外線対策や生活習慣の見直し

白内障の予防や進行抑制には、血糖管理だけではなく生活習慣の改善も重要です。

紫外線は水晶体のタンパク質変性を促進する要因の一つと考えられています。屋外で過ごす際は、UVカット機能付きのサングラスや帽子を活用するとよいでしょう。

また、喫煙は白内障のリスクを高める要因として知られています。過度な飲酒も控えることが望ましいです。

さらに、バランスの良い食事や適度な運動を継続することで、血糖コントロールの改善が期待できます。抗酸化作用を持つ栄養素を含む食品を意識的に取り入れることも、健康維持に役立つでしょう。

スマートフォンやパソコンを長時間使用する場合は、適度に休憩を取り、目を休ませる習慣も大切です。

生活リズムの乱れや睡眠不足は血糖管理にも影響します。目の健康だけではなく、全身の健康を意識した生活を心掛けましょう。

まとめ

糖尿病患者の方でも、血糖コントロールや全身状態が安定していれば、白内障手術を受けられる可能性があります。一方で、糖尿病網膜症などの合併症や術後のリスクについては十分な評価が必要です。

手術を成功に導くためには、内科と眼科が連携しながら血糖管理や術後経過を丁寧に確認することが重要になります。また、定期的な眼科検診によって白内障や網膜疾患を早期に発見することも欠かせません。

秋葉原白内障クリニックでは、白内障手術だけではなく、網膜硝子体疾患や難症例にも対応しています。患者さま一人ひとりの目の状態やライフスタイルを踏まえながら治療方針をご提案しておりますので、見え方に不安がある方はお気軽にご相談ください。


 
 

記事監修者について

院長 原田 拓二

眼科医 原田 拓二

医療法人社団廣洋会理事長
本院・秋葉原白内障クリニックと分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所にて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

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