フェイコ・プレチョップ法による手術
白内障手術は紀元前から行われていました。確認されている最も古い記録は古代インドの時代にまで遡ることができます。以来、白内障手術は進歩を続け、現在では「超音波乳化吸引術」という方法を用いて、濁った水晶体の核を砕いて吸い取る術式が標準的な手術法となっています。硬い核を超音波ですべて砕いて液状にさせるには、多くの超音波エネルギーを必要とし、長時間の手術では目の組織を痛めてしまうこともあります。世界中の眼科医が少しでも短い時間で、少しでも眼に負担がかからない手術を課題に日夜修練を重ねる中、1992年に名誉院長・赤星隆幸医師が「フェイコ・プレチョップ法」を考案したことで、手術の安全性と効率は飛躍的に向上しました。フェイコ・プレチョップという名称は、水晶体(フェイコ)を乳化吸引する前に、あらかじめ(プレ)割る(チョップ)という手術工程を示した名称です。独自に開発した「プレチョッパー」という器具を用いあらかじめ核を分割することで、超音波をかける時間が10分の1以下になり、手術時間や目の組織にかかる負担の大幅な軽減が実現しました。
当院における手術は「極小切開白内障手術」と呼ばれる2mm以下の創口からすべての処置を行う方法で行われます。目の手術では創口を開けている時間が長くなればなるほど、また創口が大きければ大きいほど、ばい菌が入るリスクが高くなります。いったん目の中でばい菌が増えだしてしまうと、下手をしたら失明につながりますので、極力小さな創口から短時間で手術をすることが非常に重要になります。その為、手術に用いる器具はすべて赤星医師が独自に開発したものを用いております。これらは、最も失明率の高い発展途上国の医師や病院が利用できるように特許フリーで提供されており、より良い手術を提供する為に改良を重ねられております。