眼内レンズ強膜内固定術とは

白内障手術を行った当時の術後経過が良好でも、将来的に眼内レンズが目の中でズレたり（偏位）、落ちたり（脱臼）する場合があります。これは、加齢や外傷により水晶体の袋を支えているチン小帯が切れることによって起こります。眼内レンズがズレたり、落ちたりすると急激に見え方が悪くなります。また、眼内レンズの偏位や脱臼によって、眼圧上昇や虹彩炎を引き起こすこともあります。 このように、チン小帯が切れて、水晶体の袋ごと眼内レンズがズレたり、落ちたりした場合、眼内レンズを水晶体の袋ごと摘出することになります。眼内にレンズがないと強い遠視になる為、眼内に再度レンズを挿入する必要があります。しかし水晶体嚢がなくなるため、一般的な方法では眼内レンズの挿入はできません。そのため、当院では白目（強膜）にトンネルを作って眼内レンズを固定する「眼内レンズ強膜内固定術」を第一選択とした治療を行っております。

眼内レンズ強膜内固定術の流れ

プレミアムな眼内レンズを用いた強膜内固定術

強膜内固定術では一般的に直径7mmの眼内レンズを使用します。レンズの支持部（ループ）を外へ出し、強膜へ埋め込んで直接固定しますが、細い2本のループで固定する為、レンズが傾きやすく中心のズレを生じやすいというデメリットがあります。 また、強膜内固定に使用できる眼内レンズは乱視の矯正ができない単焦点レンズしか選択できません。今まで乱視用のレンズや多焦点レンズを挿入されていた方は、術後、メガネで矯正する必要があります。 海外では、これらのデメリットを解消する強膜内固定専用のレンズが製造されております。それらを用いることで、レンズの傾きや中心のズレを極限まで減らせ、良好な術後視力の獲得が可能となりました。 国内未承認レンズになりますので、自費診療になることや手術の時間が少し長くなることがデメリットとして挙げられますが、長期的な安定性をお考えの方にはお勧めですので、ご興味のある方は医師にご相談ください。