2025年12月04日

網膜や硝子体は、目の奥で光を感じ取り、鮮明な視界を保つために欠かせない重要な組織です。加齢や糖尿病などの影響でこれらの組織に異常が生じると、視界がかすむ・ゆがむ・黒い点が見えるといった症状が現れることがあります。こうした症状の原因が網膜や硝子体のトラブルによる場合に行われるのが「網膜硝子体手術」です。
この記事では、手術の基本的な内容から対象となる病気、手術の流れ、術後の生活上の注意点までを分かりやすく解説します。また医療技術の進歩により日帰りで行えるケースも増えており、秋葉原白内障クリニックのように低侵襲の硝子体手術に対応する施設もあります。視力の違和感を覚えたら、早めに眼科での相談を検討しましょう。
この記事で分かること
- 網膜硝子体手術の基本的な仕組みと目的
- 対象となる主な病気と手術の一般的な流れ
- 日帰りで受けられるケースや医療機関の取り組み
網膜硝子体手術とは?
網膜硝子体手術は、目の奥にある「硝子体」や「網膜」の異常を治療するための外科的手術です。硝子体とは眼球の中を満たすゼリー状の透明な組織で、約99%が水分から成り立っています。光を屈折させて網膜に届ける役割を持ち、目の内部構造を安定させる働きもあります。
硝子体が濁ってしまったり収縮して網膜を引っ張ったりするようになると、視力や視界に悪影響が及ぶでしょう。そのような場合に、濁った硝子体を取り除き網膜の修復や再固定などを行うのが網膜硝子体手術です。
この手術は顕微鏡下で行われる精密なもので、現在は数ミリの小切開で行う「低侵襲手術」が主流です。局所麻酔で行われることが多く、症例によっては入院ではなく日帰りで実施できる場合もあります。近年は手術装置や照明器具の改良により、より短時間での治療が可能となっています。
網膜硝子体手術の適応となる主な病気
網膜硝子体手術が行われるのは、硝子体や網膜に異常が生じ、視力の低下や視界の歪みなどが現れている場合です。これらの病気は放置すると症状が進行し、ものを見る機能に大きな影響を及ぼすことがあるため、状態に応じた手術が検討されます。
代表的な疾患としては、まず「黄斑前膜」が挙げられます。網膜の中心部(黄斑)の表面に薄い膜が張ることで、物がゆがんで見えたり小さく見えたりする病気です。また「黄斑円孔」は同じく黄斑部に穴が開く疾患で、中心視力の低下や見たい部分が抜け落ちるように見えるのが特徴です。
「糖尿病網膜症」は糖尿病によって眼の血管が傷つき、出血や膜の増殖が起こる病気で、進行すると網膜剥離を引き起こすこともあります。「裂孔原性網膜剥離」は、網膜に穴(裂孔)が生じ、網膜が内側から剥がれてしまう疾患で、早急な治療が必要になる代表的なケースです。
その他「硝子体出血」や「硝子体混濁」では、出血や老廃物などで硝子体が濁り、視界がかすむ・黒い影が動いて見えるといった症状が現れます。また白内障手術後などにまれに発生する「水晶体落下」も、硝子体手術の対象となることがあります。
これらの疾患では、眼底検査やOCT(光干渉断層計)などの精密検査によって、手術の必要性やタイミングが総合的に判断されるのが一般的です。症状が続く場合や視界に異変を感じた場合は、早めの受診が大切です。
網膜硝子体手術の流れ
網膜硝子体手術は、病気の種類や進行度に応じて内容や所要時間が異なりますが、一般的には「術前検査 → 手術 → 術後の経過観察」という3つのステップで進みます。手術前には眼や全身の状態を確認し、手術中は顕微鏡下で精密な操作を行います。また術後は眼圧や視力の変化を丁寧に観察しながら回復を見守ることが大切です。
ここでは、手術の一連の流れを順を追って紹介します。
術前の検査と準備
網膜硝子体手術の前には視力検査・眼底検査・OCT検査などを行い、網膜の状態や病変の位置を詳しく確認します。併せて採血や心電図など、全身の安全性を確認する検査も行われることが多いです。手術に関する説明では手順や麻酔の方法、リスク、術後の過ごし方などについて医師から詳しく説明があります。
また感染予防のための準備も大切です。手術の数日前から抗菌薬の点眼を始める医療機関もあるほどです。医療機関によっては、緊急性が高い病状と判断できる場合、受診当日に手術を行うケースもあります。
手術内容
網膜硝子体手術は局所麻酔で行われることが多く、白目の部分に3〜4カ所の小さな穴を開け、特殊な器具を挿入して硝子体を吸引・切除します。濁った硝子体を除去した後、必要に応じて網膜の表面にある膜を剥がしたり、網膜をレーザーで固定する処置を行ったりします。
手術の最後には、眼内を灌流液で満たして終了するのが一般的です。症例によっては眼内に空気やガス、あるいはシリコンオイルを注入し、網膜を内側から押さえる処置を行うこともあります。
手術時間は疾患や状態により異なりますが、30分~1時間程度が多く、近年は器具の細径化によって負担が軽減されています。
術後の経過観察と通院
手術後の視力回復には個人差があります。見え方がすぐに安定しない場合もありますが、焦らず医師の指示に従い経過を観察することが大切です。特に眼圧が上昇する場合は、術後数日は続けての通院が必要となる可能性があります。 なお眼内に注入したガスは10日ほどで自然に吸収されますが、シリコンオイルを使用した場合は除去手術が必要です。除去手術は、数週間~数カ月後に行うのが一般的です。
網膜硝子体手術の注意点
手術後は感染や炎症を防ぐため、抗菌薬や抗炎症薬の点眼を継続する必要があります。洗顔や洗髪は前日に済ませ、医師の許可が出るまで控えましょう。
また網膜円孔や網膜剥離などでガスを注入した場合は、一定期間うつ伏せ姿勢をとる必要があり、安静を保つことが求められます。その他、手術直後は目を押さえたりこすったりせず、車の運転など視力を使う行為は見え方が安定するまで控えましょう。
網膜硝子体手術の合併症
網膜硝子体手術は医療行為のため、大変まれではありますが合併症が起こることがあります。頻度や経過は個人差があり、適切な管理と術後の注意で防げることも多いです。代表的な合併症を紹介します。
術後感染
網膜硝子体手術では傷口から細菌が入り、眼球内で感染(眼内炎)が起こる可能性があります。重症化すると視力に影響することもあるため、術後の点眼を指示通りに行い、目をこすらないよう注意しましょう。
硝子体(再)出血
網膜硝子体の手術後は眼内で出血が見られることがありますが、軽度であれば1〜2週間ほどで自然に吸収されます。吸収が進まない場合は再手術を検討します。
網膜裂孔、網膜剥離
網膜硝子体の手術操作中に網膜に小さな穴が開いたり、硝子体の牽引で網膜が剥がれたりすることがあります。その場合は、手術中または再手術で網膜を修復します。
増殖硝子体網膜症
まれに、網膜硝子体手術後に網膜が強く収縮する「増殖硝子体網膜症」が発生することがあります。重症化すると視力への影響が大きく、追加手術が必要になる場合もあります。
緑内障
網膜硝子体の手術後は一時的な眼圧上昇が起こることがあり、点眼や内服、点滴でコントロールします。ところがまれに緑内障手術を要するケースもあります。糖尿病網膜症などでは血管新生緑内障が発生する可能性があるため、注意が必要です。
まとめ
網膜硝子体手術は、視力低下を引き起こす網膜・硝子体の疾患を治療するための重要な手術です。現在では小切開・短時間で行えるようになり、多くの患者さまにとって治療を受けやすい環境が整っています。見え方に違和感を覚えた場合は、早めに眼科を受診し、医師に相談することが大切です。日帰り手術に対応する医療機関も増えているため、自身の生活スタイルに合った治療方法を検討すると良いでしょう。
秋葉原白内障クリニックでは、白内障と硝子体疾患を同時に治療できる体制を整えており、術前から術後まで丁寧にサポートしています。まずは一度、秋葉原白内障クリニックへご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
