2025年11月26日
白内障手術の直後は、目がデリケートな状態にあります。わずかな刺激や異物の混入でも炎症を起こす恐れがあるため、細菌の侵入を防ぐ必要があります。術後の感染症予防のためには、「保護メガネ」の着用を推奨する医療機関が多いです。実際のところ秋葉原白内障クリニックでも、手術後はゴーグルをかけてご帰宅いただいています。
本記事では、白内障手術後に保護メガネが必要とされる理由や基本的な構造、使用期間の目安などを解説します。また後半では術後の回復を進めるためのさまざまな注意点についても紹介するので、ぜひ最後まで読んで参考にしてみてください。
- 白内障手術後に保護メガネが推奨される理由
- 保護メガネの構造と役割
- 使用期間と着用時の注意点
白内障手術後の目はデリケートな状態
白内障手術は、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工のレンズ(眼内レンズ)を挿入する治療です。手術は短時間で行われますが、直後の目は敏感な状態にあります。
切開部が完全にふさがるまでには一定の時間がかかり、その間に細菌や異物が入ると炎症を起こす恐れがあります。具体的には、目をこすったり、ほこりや飛沫が入ったりすることが感染の原因となるでしょう。特に、風や花粉、外気中の小さなゴミなどが目に入ると、炎症や刺激につながりやすいと考えられます。
感染症予防のために保護メガネが推奨される理由
白内障の術後感染を防ぐには、外的刺激から目を守り、清潔な環境を保つことが欠かせません。そのため術後は「保護メガネ」の着用が推奨されています。保護メガネは外出時だけではなく、就寝中に無意識で目を触ってしまうことを防ぐ際にも役立つことがあります。
以前は術後に眼帯を使用するケースも多くありましたが、通気性が悪く清潔を保ちにくいことから、現在では眼帯よりも保護メガネを用いるケースが一般的です。保護メガネは通気性を保ちながら目を覆うことができ、ほこりや飛沫を防ぎつつ清潔な状態を保ちやすいのが特長です。
保護メガネの基本的な構造
医療用の保護メガネは、通常のメガネよりも顔全体をしっかり覆う設計になっています。正面だけではなく側面にもカバーがあり、ほこりや飛沫が横から入り込むのを防ぐ構造のものが多い。また多くは軽量でフィット感があり、長時間の装着にも配慮されています。
これらの保護メガネは、あくまで感染症の予防を目的として使用されるものであり、日常の紫外線対策用メガネとは異なるものです。しかし近年では、透明度の高い樹脂素材やくもり止め加工が施されたタイプなど、装着時の快適さを高める工夫も見られます。デザイン性の高いモデルもあり、外出時にも違和感なく使用できるのが特徴です。
保護メガネを使用する期間の目安
保護メガネを使用する期間は、個人の回復状況や医療機関の方針によって異なります。一般的には、術後1週間から1カ月程度の着用を推奨しているケースが多いでしょう。 手術直後は傷口が完全にふさがっていないため、細菌や異物の侵入を防ぐ目的で保護が必要です。目の状態が安定し、医師から許可が出たタイミングで使用を終了します。自己判断で早めに外したり、逆に長く使い続けたりするのは避けましょう。
なお使用中は、メガネを清潔に保つことも大切です。メーカーの推奨する方法で、定期的にお手入れをしましょう。
その他の白内障手術後に注意すべきこと
繰り返しになりますが、白内障手術後は創口が完全に閉じるまで細菌感染を防ぐことが重要です。特に術後1週間は、強く目をつぶったり、こすったりしないよう注意しましょう。また医師から処方された点眼薬は、感染や炎症を抑える目的のものです。忘れずに決められた回数と方法を守って点眼してください。
さらに、乱視矯正レンズを挿入した場合は、目を大きく動かすと位置がずれることがあります。手術直後はなるべく目を安静にし、落ち着いた生活を心がけましょう。
その他、術後1週間ほどは洗顔や洗髪の際、直接水をかけないようにしてください。首から下の入浴は翌日から可能ですが、汗や水が目に入らないよう短時間で済ませ、入浴後は抗菌剤の点眼を行いましょう。
仕事については、デスクワークなど軽い作業なら翌日から可能な場合もありますが、重い荷物を扱う作業や激しい運動は1週間ほど控えるのが安心です。お化粧は目の周りを避け、特にアイメイクは2週間ほど控えるようにします。
また車の運転は視力が安定し、医師の許可が出てから再開してください。眼内レンズの影響で距離感が変わることもあるため、再診時に確認しておくことをおすすめします。
まとめ
白内障手術後の目は、わずかな刺激や汚れでも感染を起こす恐れがあるため、細心の注意が必要です。保護メガネの着用は、ほこりや飛沫から目を守り、感染症を防ぐ有効な手段の一つとされています。
術後のケアで大切なのは、医師の指導を正しく守ることです。保護メガネの着用に加えて点眼や生活上の注意点をきちんと実践することで、回復を妨げるリスクを回避できるでしょう。
秋葉原白内障クリニックでは、術後の生活指導やご相談にも丁寧に対応しています。手術後の見え方やケアについて不安がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
