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白内障手術は日帰りでできる? 所要時間や費用の目安を紹介

2025年12月09日

白内障の手術は入院が必要というイメージを持つ人も少なくありませんが、近年は日帰りで行うケースが一般的になっています。医療技術の進歩により、手術の安全性や精度が高まったことで、患者さまの身体的・時間的な負担を軽減できるようになりました。仕事や家事で忙しく、入院の時間を取りづらい方にとっても、通院だけで完結する治療として注目されています。

本記事では、白内障の日帰り手術の流れや手術ができないケース、費用について解説します。治療を検討している方はぜひ最後まで読んで、手術に対する理解を深めるきっかけにしてください。

この記事で分かること

  • 白内障手術の基本的な仕組みと流れ
  • 日帰り手術の特徴と注意点
  • 費用や受けられないケースの概要

白内障とは?

白内障とは、目の中にある水晶体(すいしょうたい)が濁ることで視界がかすんだり、光をまぶしく感じたりする病気です。水晶体はカメラのレンズのような役割を持ち、光を通してピントを調整しています。この水晶体が加齢や生活習慣などの影響で変性し、透明性を失うことで発症します。

代表的なのは「加齢性白内障」という種類のものです。加齢性白内障は60代以降、多くの人に見られるといわれています。このタイプは、タンパク質の構造変化や酸化ストレスが原因となって進行し、徐々に水晶体が白く濁っていくのが特徴です。この他にも糖尿病や外傷、アトピー性皮膚炎、ステロイド薬の長期使用などによる併発性白内障、先天的に見られる先天白内障など、原因や発症時期によっていくつかの種類があります。

白内障の症状はかすみやぼやけの他、明るい場所でまぶしく感じる「羞明(しゅうめい)」、夜間の視力低下、色の見え方の変化などです。進行すると、眼鏡を掛けても見えにくくなり、生活に支障を来すことがあります。

初期の段階では点眼薬による進行抑制が行われる場合もありますが、濁ってしまった水晶体を元に戻すことはできません。唯一の根本的な治療は、白内障手術です。 白内障はゆっくりと進行するため、自覚症状が出にくいケースもあります。見え方に違和感を覚えたら、早めに眼科を受診し、状態を確認しておくことが大切です。

白内障手術の概要

白内障手術は、濁ってしまった水晶体を取り除き、代わりに人工の眼内レンズ(IOL:Intraocular Lens)を挿入することで、視力の回復を目指す治療です。濁った水晶体を取り除くため、手術後に白内障が再発することは基本的にありません。

手術は主に「超音波乳化吸引術(ちょうおんぱにゅうかきゅうじゅつ)」という方法で行われます。まず角膜の端に数ミリ程度の小さな切開を加え、水晶体の中身を超音波で細かく砕いて吸引します。その後、透明な袋(後嚢)の中に人工の眼内レンズを挿入して固定するのが一般的です。この手法により、切開が小さく出血もほとんどないため、短時間での手術が可能となっています。

多くの医療機関では、局所麻酔による日帰り手術を採用しています。手術時間は10分前後で、個人差はありますが、痛みをほとんど感じないケースが多いです。術中に医師と会話できることもあり、基本的に全身麻酔や入院を必要としません。

なお挿入する眼内レンズには、遠くまたは近くのどちらかに焦点を合わせる「単焦点レンズ」と、複数の距離にピントを合わせられる「多焦点レンズ」があります。多焦点レンズの中でもさまざまな種類があり、どのようなレンズを使用するかは、本人の生活スタイルや希望、目の状態を考慮した上で決定することが大切です。治療を検討する際は医師の説明を十分に受け、複数の選択肢の中から自分に合った方法を選びましょう。

日帰り白内障手術の流れ

日帰りで行う白内障手術にかかる時間は、病院に行ってから帰宅まで2〜3時間程度が目安です。先述の通り手術そのものは10分前後で終了しますが、術前準備や安静時間を含めると全体では半日ほどかかることがあります。

一般的な流れは次の通りです。

  • 受付・診察:到着後、体調確認や血圧測定を行い、術前の診察を受ける
  • 点眼・準備:散瞳薬や麻酔薬を点眼し、目の状態を安定させる
  • 手術:局所麻酔の下、濁った水晶体を取り除き人工の眼内レンズを挿入する
  • 安静・術後確認:手術後はしばらく院内で安静にし、医師が目の状態を確認する
  • 帰宅:問題がなければその日のうちに帰宅する

安全のため手術当日は車の運転は避け、家族や知人の送迎を依頼することが推奨されています。また手術前には、眼内レンズの度数を決定するための詳細な術前精密検査が欠かせません。角膜の形状や眼球の長さなどを正確に測定することで、より良好な手術後の見え方を目指すことが可能です。

手術後の注意点

日帰りで白内障手術を受けた後は、しばらく見え方が安定しない期間があります。視界がかすむ、まぶしく感じる、色の見え方が違って感じる、黒い影が見える(飛蚊症)などの症状が一時的に出ることもありますが、多くは時間の経過と共に改善していきます。

手術当日は、感染を防ぐために入浴・洗顔・化粧を控えることが大切です。翌日以降も、医師の指示に従い、指定された抗生物質や抗炎症薬の点眼を欠かさず行いましょう。これらの点眼は、術後の炎症や感染を防ぐために重要です。

仕事や運動の再開時期は内容によって異なります。デスクワークなどの軽作業は手術の翌日から可能ですが、重いものを持つ作業などの重労働は1週間程度控えるのが安全です。日常の家事や軽い散歩も翌日から行えますが、眼内レンズが安定するまでの約1カ月間は激しい運動を避けましょう。

また目をこすらない・触らないことが重要です。術後は目の保護と感染予防のため、一定期間は保護ゴーグルの装着が必要となる場合があります。目を大きく動かすとレンズがずれる恐れがあるので、意識的に目を動かし過ぎないよう注意しましょう。

手術後の通院スケジュール

白内障の日帰り手術を受けた後は、定期的な通院で経過を確認することが大切です。多くの医療機関では、手術の翌日から1週間にかけてはこまめに診察を行い、視力の回復状況や眼圧、炎症の有無などをチェックします。

手術直後は目の状態が変化しやすい時期のため、自己判断で受診を中断せず、医師の指示どおりに通院しましょう。異常に気づいた場合は、次の診察日を待たずにすぐ受診することが重要です。定期的なフォローアップを受ければ良好な見え方を長く維持できる可能性が高く、合併症の早期発見にもつながります。

日帰り手術ができないケース

白内障手術は多くの場合日帰りで受けられますが、全ての人に適用となるわけではありません。目の状態や全身の健康状態によってはリスクが高いと判断され、入院による手術がすすめられる場合や、そもそも手術ができない場合もあります。

自分が日帰り手術の適用となるかどうかは、事前のカウンセリングや検査で確認できます。生活スタイルや健康状態を踏まえて、医師と相談しながら方法を決めることが大切です。

白内障手術の費用の目安

白内障手術は原則健康保険が適用される治療で、自己負担割合によって費用が変わります。3割負担の場合、片目当たり4〜6万円前後が一般的な目安です。1割負担であれば1~2万円前後後となり、費用は比較的抑えられるでしょう。

白内障手術の費用には、眼内レンズ代や手術費、診察・薬代などが含まれ、使用するレンズの種類によって金額は大きく異なるものです。単焦点レンズを使用する場合は保険適用内で治療を受けられますが、多焦点眼内レンズを希望する場合は自由診療または選定療養となり、追加費用が発生します。 また手術内容やオプション検査の有無によっても、費用は変動します。実際に支払う金額は医療機関によっても異なるため、事前に必要な費用を確認しておけると良いです。

高額療養費制度の利用について

さらに費用が高額になる場合は、国の制度である高額療養費制度を利用できることがあります。これは、1カ月に支払う医療費が一定の上限を超えたとき、超過分が払い戻される制度です。制度の適用条件や限度額は年齢や年収などによって異なるため、事前に保険者へ問い合わせておくと良いよいでしょう。

例えば3割負担の方で、所得が中程度の世帯であれば、約8万円を超えた分が後日払い戻されるケースがあります。申請には医療機関の領収書や健康保険証が必要となるため、手術を受ける前に、加入している保険者(勤務先の健康保険組合や市区町村の国民健康保険など)へ詳細を確認しておくと良いです。 この制度を上手に活用すれば、経済的な負担を軽減させながら手術を受けられるでしょう

まとめ

白内障の日帰り手術は、短時間で体への負担が少ない治療方法として、多くの患者さまに選ばれています。近年は技術の進歩により精度が向上し、通院で完結できるケースが一般的になっています。

ただし、全ての人が日帰り手術の対象になるわけではありません。糖尿病や心臓疾患などの持病がある場合や、白内障が進行している場合には、医師の判断で入院手術をすすめられるケースもあります。そのため、自分の目の状態に適した治療方法を確認することが大切です。 秋葉原白内障クリニックでは、患者さまお一人おひとりの目の状態や生活スタイルに合わせた手術計画を提案しています。日帰り手術について詳しく知りたい方や、自分に合う治療法を相談したい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

記事監修者について

院長 原田 拓二

眼科医 原田 拓二

医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

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