2025年11月20日
最近「視界がかすむ」「光がまぶしい」「色がくすんで見える」と感じていませんか? こうした変化は、加齢や疲れ目のせいと思われがちですが、白内障の初期症状である場合もあります。白内障は目の中の水晶体が濁ることで視界が曇る病気で、40代から発症する人も少なくありません。ゆっくりと進行するケースが多いものの、放置すると日常生活に支障が出ることもあります。
本記事では、白内障の初期に現れる症状や進行による見え方の変化、他の目の病気との違い、セルフチェックのポイントを分かりやすく解説します。ぜひ最後まで読んで、医療機関を受診するか迷った際の参考にしてみてください。
この記事で分かること
- 白内障の初期から進行までの症状について
- 白内障の症状が現れているにもかかわらず放置することのリスク
- 医療機関への受診を検討するための白内障セルフチェックと、早期受診の重要性
白内障とは?
白内障とは、目の中でレンズの役割を果たす「水晶体(すいしょうたい)」が白く濁り、光がうまく通らなくなることで見えにくくなる病気です。水晶体はカメラのレンズのようにピントを調節し、外から入ってくる光を網膜へ届ける重要な働きをしています。しかしこの水晶体が何かしらの影響で濁ってしまうと、光が乱反射して視界がかすんだり、ものがぼやけて見えたりするようになります。
症状の現れ方や進行速度には個人差がありますが、見え方の変化を感じたら早めに医療機関で検査を受けることが大切です。
白内障の初期症状
白内障の初期段階では、はっきりとした自覚症状が出にくいのが特徴です。少しずつ見え方に変化が現れるため見過ごされがちで、症状を自覚した時点ではすでにある程度白内障が進んでいる可能性があります。
まずは、代表的な初期症状を見ていきましょう。
視界がかすむ・ぼやける
初期の白内障では「曇ったガラス越し」のようは見え方になることが多く見られます。視界全体が白っぽくかすんだり、細かい文字がにじんで見えたりすることもあります。
多くの場合、症状の進行は緩やかです。一時的に見えやすくなることもありますが、少しずつ視界のぼやけが強まっていく傾向にあります。明るい場所よりも光量の少ない夕方や室内で濁りの影響が出やすく、朝晩で見え方が変わるケースも多いです。
異常なまぶしさを感じる
白内障の初期には、光の見え方に異常を感じることもあります。太陽光や蛍光灯、夜間の車のヘッドライトなどが異常にまぶしく感じるのは、水晶体の濁りによって光が乱反射するためです。
特に逆光のときに視界が白く飛んでしまい、周囲のものが見えにくくなることがあります。日常生活の中で「以前より光がまぶしい」と感じたら、白内障の始まりを疑ってみることが大切です。
色がくすんで見える・コントラストが低下する
白内障が始まると、色が全体的にくすんで見えるケースもあります。水晶体が黄ばんだり白く濁ったりすることで光の透過が変わり、色のコントラストが低下するためです。その結果「以前より景色が暗く見える」「テレビの色が薄く感じる」といった違和感を覚える場合があるのです。
また白っぽい服や明るい壁などの区別が付きにくくなるなど、色彩の判断が難しくなるケースもあります。日常生活の中で微妙な色の変化に気づいた際は、早めの受診が望まれます。
白内障が進行したときに現れる症状
白内障が進行すると、視力低下が進み、日常生活で不便を感じるようになります。初期段階では軽いかすみやぼやけ程度だったものが、次第に文字が読みにくくなったり、細かい作業が難しくなったりするかもしれません。読書や裁縫などの細やかな作業、夜間の車の運転などでは、特に見えづらさが目立ちやすいです。進行に伴い、視界の明暗や距離感を正確につかめなくなることで、つまずきや転倒などのリスクも高まります。
白内障が進んだときに自覚する可能性が高いのは、以下のような症状です。
ものが二重・三重に見える
白内障が進行すると、光の通り道である水晶体が濁り、光が乱反射するようになります。その結果、対象物が二重や三重に見える「単眼複視」と呼ばれる症状が起こることがあります。
片目で見ているにもかかわらず文字や人の輪郭が重なって見えるような場合は、白内障による濁りが強くなっている可能性があると考えましょう。
両目の見え方が違う・距離感がつかみにくい
左右の目で進行の程度が異なると、片方の視力が落ち、見え方に差が出ることがあります。片目だけで見ているような感覚になり、立体感や距離感を正しくつかめなくなるのが特徴です。
このような症状が現れた場合、階段の上り下りや段差のある場所でバランスを崩しやすくなる、ものの位置を誤って手を伸ばすなど、生活の中で危険を伴うこともあります。
眼鏡の度がすぐに合わなくなる
白内障が進むと、濁りの位置や程度によって見え方が変わるため、眼鏡やコンタクトレンズの度数を調整しても視力が安定しにくくなります。「新しい眼鏡を作ってもすぐ見えづらくなる」と感じる場合は、単なる視力低下ではなく白内障が関係しているのかもしれません。
この状態を放置すると、視界の歪みや疲れが強くなり、生活の質の低下につながります。
白内障の症状を放置するリスク
白内障を放置すると、症状が進行して視力がさらに低下し、日常生活に大きな影響を及ぼす可能性が高まります。見えにくさに慣れてしまうことで医療機関の受診が遅れ、進行した段階で初めて気づくケースも少なくありません。最後に、代表的なリスクを3つ紹介します。
視力回復が難しくなる
白内障が進行すると、水晶体の濁りが硬くなる「核白内障」という状態になることがあります。この段階では手術で濁りを取り除く際の難易度が高く、さらには合併症のリスクも高いです。
また進行が進むほど視力の低下が著しくなり、治療後に十分な視力回復が見込めないケースもあります。放置期間が長ければ長いほど眼の他の組織にも負担がかかり、結果として視機能の回復が難しくなるでしょう。
不調やケガの原因になる
見えづらさを我慢して生活を続けると、目の筋肉や視神経に負担がかかり、肩凝りや頭痛、眼精疲労などの不調につながることがあります。また視界がぼやけるせいで距離感を誤り、段差でつまずいたり、人やものにぶつかったりすることも増えがちです。
特に高齢者の場合は、転倒による骨折などの重大なケガにつながる恐れもあります。白内障による視界の変化を放置せず早めに対策することは、安全な生活を守るための第一歩でもあるのです。
他の疾患を併発する危険性も
白内障を放置すると、濁った水晶体が眼内の房水(ぼうすい:目の中を循環する液体)の流れを妨げ、眼圧が上昇することがあります。その結果、急性緑内障発作など、失明の危険を伴う合併症を引き起こす恐れがあります。
また強い炎症を起こして「ぶどう膜炎」などを併発するケースもあるでしょう。こうした合併症は症状の進行が早く、急激な痛みや視力低下を引き起こすため、放置は禁物です。
白内障は進行しても自覚症状が乏しいケースが多いため、定期的な眼科検査で変化を確認し、必要に応じて治療を検討することが大切です。
早期発見のためのセルフチェック
先述の通り白内障はゆっくりと進行する病気のため、初期段階では自覚しにくい可能性があります。しかし見え方の変化を早いうちから意識していれば、進行を防げたり適切な治療のタイミングを逃さずに済んだりするかもしれません。以下のチェックリストを活用して、現在の見え方を一度確認してみましょう。
白内障セルフチェック項目
- 視界が白っぽく、かすんで見える。
- 屋外に出ると太陽や光がまぶしく感じる。
- 片目で見るとものが二重・三重に見える
- 以前と色合いが違って見える。
- 右目と左目で見え方がちがう。
- 眼鏡の度数が合わなくなった。
- 長期間ステロイド剤を使用している。
- 距離感がつかみづらくなり、つまずくことがある。
- 50歳以上である。
- 糖尿病を患っている。
上記のうち一つも当てはまらない場合は、今のところ白内障の症状は現れていないと考えられます。ただし見え方の変化は年齢と共に進むため、違和感を覚えたときには再度チェックを行ってください。
複数の項目に当てはまる場合は、白内障が始まっている、または進行している可能性があります。特に「視界のかすみ」「まぶしさ」「色のくすみ」「左右差」などが気になる場合は、早めに眼科を受診しましょう。
白内障は自然に治ることはありませんが、早期に発見して適切な治療を行えば、見え方を改善させられる可能性があります。定期的な視力検査や眼底検査を受け、変化に気づいた段階で医師に相談することが大切です。
まとめ
白内障は痛みがなく進行するため、気づかないうちに見えにくい状態になってしまうことがあります。見え方の変化を感じたら、自己判断せず早めの受診が大切です。
秋葉原白内障クリニックでは10分前後の時間で白内障手術を実施しており、術後のフォローも丁寧に行っています。視界のかすみやまぶしさなど少しでも気になる症状がある方は、ぜひお気軽にご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
