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白内障の治療法について解説|進行度別の選択肢と注意点

2025年11月27日

白内障の治療には、点眼薬で進行を抑える方法と、濁った水晶体を取り除く手術による方法があります。どの治療を選ぶかは、症状の進行度や日常生活への影響、患者さまの希望によって異なります。医師と相談しながら、適した治療方針を決めていくことが大切です。

本記事では白内障の主な治療法から手術の流れ、眼内レンズの種類、治療後の注意点までを解説します。見えづらさやまぶしさなど、少しでも異変を感じたら早めに眼科を受診しましょう。

この記事で分かること

  • 白内障の主な治療法と進行度別の治療の流れ
  • 手術で使用される眼内レンズの種類と特徴
  • 手術後に起こり得る症状や注意すべきポイント

白内障とはどのような病気?

白内障は、目の中でレンズの役割を果たす「水晶体(すいしょうたい)」が白く濁ることで、視界がかすんだり、光をまぶしく感じたりする病気です。水晶体は元々透明で、ピントを調節しながら光を網膜に届ける働きをしていますが、濁りが進行すると光がうまく通らず、見え方に影響が出るのです。

主な原因は加齢による変化で、60歳を過ぎると多くの方に程度の差はあっても白内障の症状が見られます。その他、糖尿病やアトピー性皮膚炎、外傷、ステロイド薬の長期使用、紫外線の影響なども発症の要因とされています。

初期段階では軽いかすみや光のにじみなどの自覚症状が中心ですが、進行すると視力が低下し、日常生活に支障を来すこともあるでしょう。白内障は誰にでも起こり得る身近な病気であり、症状や進行度に応じて適切な治療を受けることが大切です。

白内障の主な治療法

白内障の治療は、症状の進行度や生活への影響によって「点眼治療」と「手術」に大きく分けられます。初期段階では、点眼薬によって進行を抑える治療が中心となりますが、進行して日常生活に支障を来すようになると、濁った水晶体を取り除く手術が検討されるのが一般的です。

どの治療法を選択するかは、白内障の進行度だけでなく、患者さまの生活スタイルや他の病気の有無などを踏まえて医師が判断します。いずれの場合も、医療機関で定期的に診察を受け、適切な治療時期を見極めることが重要です。

初期段階:点眼治療(薬による進行抑制)

白内障の初期段階では、手術を行わずに点眼薬で進行を抑える治療が行われることがあります。点眼薬には、水晶体の酸化を抑える成分や代謝を促進する成分などが含まれており、白内障の進行を遅らせる効果が期待されています。

ただし、点眼薬はあくまで進行を抑えることを目的とした治療です。そのため、効果を実感できないと感じる方もいるかもしれません。そのような場合も、自己判断で使用を中止しないようにしてください。医師の指導に従って継続的に点眼を行い、定期的に経過を確認することが大切です。

進行段階:白内障手術(濁った水晶体の除去)

白内障が進行し、視力の低下によって生活に支障を感じるようになった場合は、手術が有効です。手術の目的は、濁った水晶体を取り除き、その代わりに人工の眼内レンズ(IOL:Intraocular Lens)を挿入して視力を回復させることにあります。

手術の流れはおおむね以下の通りです。

まず点眼による局所麻酔を行い、角膜や水晶体の中身を包んでいる袋状の嚢の前面に小さな切開を加えます。次に、超音波を利用して濁った水晶体を細かく砕き、吸引して取り除きます。その後、眼内レンズ(IOL:Intraocular Lens)を挿入して固定し、完了です。

多くの場合は日帰り手術が可能ですが、合併症の有無や全身の健康状態によっては入院が必要な場合もあります。

手術で使用される眼内レンズの種類

白内障手術で使用する眼内レンズには、主に「単焦点眼内レンズ」と「多焦点眼内レンズ」の2種類があり、それぞれに特徴と適した使用目的があります。どちらを選ぶかによって、術後の見え方や生活の快適さが大きく変わるため、患者さまの生活スタイルに合わせて慎重に検討することが大切です。それぞれには、乱視用のレンズも存在します。

単焦点眼内レンズは、1つの距離(遠く・中間・近く)のみにピントを合わせるタイプのレンズです。例えば遠くに焦点を合わせた場合、運転や外出時の見え方はクリアになりますが、読書やスマートフォン操作などで近くを見る際には老眼鏡が必要になるでしょう。このレンズは健康保険の適用対象であり、標準的な治療として多くの患者さまに使用されています。

一方の多焦点眼内レンズは、遠く・中間・近くなど複数の距離にピントを合わせられるタイプのレンズです。眼鏡の使用頻度を減らしたい方や、幅広い距離でのピント調節を希望する方に選ばれています。ただし、コントラスト感度の低下や光のにじみを感じることがある他、多くは自由診療となり、費用を全額負担する必要があります。費用や見え方の特性を理解した上で選択することが重要です。

どのレンズが適しているのかは、職業や日常生活の過ごし方、希望する見え方によって異なります。医師と十分に相談し、手術後の生活を見据えた上で、適したものを選びましょう。

白内障手術の成功率と回復の目安

白内障手術は現在、眼科領域で確立された治療法の一つといわれています。技術や機器の進歩により、患者さまの体への負担が少ない治療として広く行われています。

手術時間は通常10分前後と短く、点眼による局所麻酔で行うのが一般的です。そのため痛みはほとんどなく、手術中も意識がある状態で受けられます。多くの患者さまは日帰りで手術を終えられるでしょう。ただし全身の状態や合併症の有無によっては入院を勧められる場合もゼロではありません。

手術後は一時的に視界がかすんだり光をまぶしく感じたりすることがありますが、これらの症状は、通常数日から数週間で回復していきます。手術当日は目をこすらないように注意し、翌日以降は医師の指導に従って洗顔や洗髪、運動などの生活制限を守ることが大切です。

また感染予防や炎症を抑えるために、一定期間の点眼治療が必要です。回復経過を確認するには、定期的に検診を受けることも欠かせません。視力が安定するまでには個人差がありますが、医師の指示に従って丁寧にケアを続けることが、良好な経過につながるでしょう。

白内障治療のリスク

白内障手術の直後は、一時的に視界がかすむ、光がまぶしく感じる、色の見え方が変わる、黒い点が見えるなどの症状が出ることがあります。これらは多くの場合一過性のもので、数日〜数週間で落ち着くでしょう。

しかしどんなに確立された治療法でも、術後の回復見え方には個人差があるものです。症状が長引いたり悪化したりする場合には、合併症やその他のトラブルが起きている可能性もあるでしょう。最後に、白内障治療後に考えられる代表的なリスクや注意点について解説します。

代表的な合併症

白内障手術後に起こる可能性のある合併症には、眼内炎や黄斑浮腫などがあります。どちらも発症頻度は高くありませんが、放置すると視力に影響を及ぼすことがあるため注意が必要です。

眼内炎は、手術後に細菌が目の中に入り、炎症を起こしている状態です。まれではありますが、重篤な合併症の一つとされています。症状として目の痛みや強い充血、視力低下などが現れます。疑わしい症状がある場合は自己判断をせず、すぐに医療機関を受診することが重要です。

黄斑浮腫は、手術後の炎症などが原因で、網膜の中心部(黄斑)がむくむ状態です。見え方が歪んだり、中心がぼやけたりする症状が現れることがあります。多くの場合は点眼薬や内服薬などで炎症を抑える治療が行われ、時間の経過と共に改善が見込まれます。

これらの合併症は、早期に発見・治療することで重症化を防ぐことが可能です。術後の定期検診を欠かさず受け、少しでも異変を感じたら速やかに医師へ相談しましょう。

後発白内障について

白内障そのものが再発することはありませんが、手術後は、後発白内障と呼ばれる症状が起こる場合があります。これは、眼内レンズを支えている「後嚢(こうのう)」という膜が時間の経過と共に濁ることで、再び視界がかすんだりまぶしく感じたりする状態です。

後発白内障が起きた場合は、YAGレーザー治療によって濁った膜を取り除くことができ、比較的短時間で視界が改善するケースがほとんどです。治療は痛みが少なく、一般的には日帰りで受けられます。

術後しばらくして再び見えづらさを感じた際には、放置せず医療機関を受診しましょう。また定期的な診察を受けることで、こうした変化を早期に発見できます。

眼内レンズにトラブルが起きる場合も

まれな話ですが、術後に挿入した眼内レンズの位置がずれたり、傾いたりするケースもあります。視界が歪んで見える、ものが二重に見えるといった症状として現れることが多いでしょう。

軽度のずれであれば自然に落ち着くこともありますが、見え方の違和感が強い場合や視力に影響がある場合は、再手術やレンズの位置調整が行われることもあります。

手術後に見え方の変化を感じたときは、我慢せず早めに医療機関を受診してください。早期に対応することで、良好な視機能の維持につながるはずです。

まとめ

白内障は、加齢などを主な原因とする進行性の目の病気です。初期の段階では点眼薬で進行を抑えることが可能ですが、症状が進んで日常生活に支障を来すようになると、手術によって視力を回復できる可能性があります。

手術で使用する眼内レンズには複数の種類があり、見え方の特徴や費用が異なります。どのレンズを選ぶか、また手術の時期をいつにするかは、患者さまの生活スタイルや希望に合わせて、医師と十分に相談しながら決めることが大切です。

また白内障手術は確立された治療法でありながら、まれに合併症や後発白内障などが起こることもあります。治療に臨む際は、メリットとリスクをしっかり理解した上で進めましょう。

白内障の症状や治療方法について詳しく相談したい方は、秋葉原白内障クリニックへご相談ください。患者さまお一人おひとりの症状や希望に合わせた治療方針を、丁寧にご提案いたします。

記事監修者について

院長 原田 拓二

眼科医 原田 拓二

医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

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