2025年12月26日

白内障かもしれないと感じても「どのような検査を受けるのか分からない」と不安に思う方は少なくありません。白内障は、水晶体が濁ることで見え方に影響が出る病気ですが、診断にはいくつかの検査を組み合わせて行う必要があります。
事前に検査内容を知っておくことで、受診前の心配を軽くし、安心して診察に臨むことができるでしょう。
本記事では、代表的な検査の種類や当日の流れ、費用の基本などを体系的に解説します。気になる症状がある場合は、早めに検査を受けることが大切です。
この記事で分かること
- 白内障の検査が必要となる症状
- 白内障で行われる主な検査の内容
- 費用や保険適用の考え方
白内障の検査では何を調べるの?
白内障は、水晶体が濁ることで視界がかすんだり、まぶしさを強く感じたりする病気です。見た目の変化だけでは判断できないため、検査ではいくつかの項目を組み合わせて状態を確認していきます。
まず調べるのは、水晶体の濁りがどの程度進んでいるかという点です。併せて、視力にどのような影響が出ているか、日常生活の支障がどの程度かを確認します。また同じような症状を引き起こす別の眼病が隠れていないかを検討することも重要です。
白内障は1つの検査だけで診断されるわけではなく、複数の検査結果を総合して判断されます。ここでは、これらの検査がどのような役割を持つのかを全体像として紹介し、次の章から各項目を詳しく見ていきます。
白内障が疑われる症状の代表例
白内障が進行すると、見え方にさまざまな変化が現れます。代表的な症状として、目がかすむ、視界がぼやける、光をまぶしく感じる、視力が落ちたと感じるといった違和感が挙げられます。また以前より近視が進んだように感じたり、ものが二重・三重に見えたりすることもあります。
これらの症状はセルフチェックの目安になるため、当てはまる項目がいくつかある方は注意が必要です。特に複数の症状を自覚している場合、白内障を発症している可能性は高まります。
ただし、同じような見え方の変化は白内障だけではなく、網膜疾患や緑内障など他の眼病でも起こり得ます。症状だけで自己判断するのではなく、正確に原因を特定するためには検査が欠かせません。
症状が軽い段階でも早めに受診することで、進行度や今の見え方の状態を確認できます。「最近見えづらい」「まぶしさが気になる」といった小さな違和感でも、一度検査を受けることをおすすめします。
白内障の診断に用いられる主な検査
白内障かどうかを判断するためには、いくつかの検査を組み合わせて目の状態を詳しく確認する必要があります。ここでは、診察の際に行われる代表的な検査を紹介します。いずれも短時間で行えるものですが、それぞれ役割が異なり、総合的に判断することで正確な診断につながるでしょう。
白内障の可能性を調べる検査項目は、水晶体の濁りだけではなく、視力の状態や他の眼病の兆候を確認する意味もあります。各検査の目的や注意点を理解することで、受診時の不安を軽減できるはずです。
屈折検査
屈折検査は、近視・遠視・乱視といった屈折度数を測定する検査です。主にオートレフラクトメーターと呼ばれる機器を使い、現在の眼鏡やコンタクトの度数が合っているか、また見えにくさの原因に屈折異常が関係していないかを確認します。
白内障がある場合でも、屈折異常が強いと見え方に影響することがあります。そのため、白内障による視力低下と、屈折度数のずれによる見えづらさを区別するために欠かせない検査です。
手術を予定している場合、この検査で得られる度数の情報は眼内レンズの度数を決める際の基礎データにもなるため、特に重要です。
眼圧検査
眼圧検査は、目の内側にかかる圧力(眼圧)を測定する検査です。白内障診療の際にも必ず行われ、ノンコンタクト法と呼ばれる、空気を当てて測定する方法が一般的です。
眼圧の値は、緑内障など他の疾患の可能性を判断する上でも非常に重要とされています。白内障で見え方が悪くなっていても、眼圧の異常が隠れている場合は、治療や対応が変わることがあります。
高過ぎても低過ぎても注意が必要なため、白内障かどうかを確かめる診察でも必ずチェックされる項目です。
視力検査
視力検査は、裸眼視力と矯正視力を測定し、どの程度見えているかを確認する最も基本的な検査です。白内障の進行によって視力がどのくらい低下しているのか、矯正しても改善する余地がどれくらいあるのかを判断する材料になります。 同じ視力の低下でも、白内障の濁りだけが原因なのか、屈折異常の影響が残っているのかを区別する上で重要です。検査結果は、治療方針や手術のタイミングを考える際の判断基準にもなります。
細隙灯顕微鏡検査
細隙灯顕微鏡検査(スリットランプ検査)は、水晶体の濁りの有無や位置、範囲、進行度を直接観察する検査です。白内障の診断には欠かせない中心的な検査で、眼科診療ではほぼ必ず行われます。
この検査では、強い光を細い帯状に当てながら、角膜・水晶体・虹彩などの状態を詳しく観察します。水晶体がどの部分から濁っているのか、白内障の種類や進行度がどの程度かを把握できます。 診断や今後の治療計画を立てる上で最も重要な検査の一つです。
白内障検査にかかる費用と保険の考え方
白内障の検査にかかる費用は、初診料と基本的な検査費用を合わせて数千〜1万円前後が一般的です。視力検査・眼圧検査・細隙灯顕微鏡検査などの基本的な項目は、健康保険の範囲で受けられるため、自己負担は3割負担で計算されます。
白内障手術を行う際はさらなる精密検査が必要
白内障手術を予定する場合は、通常の診察よりも詳しい「術前検査」を行います。これは、手術を安全に進めるために欠かせない工程で、角膜や網膜の状態、合併症の有無、感染症の有無などを細かくチェックします。術後の合併症を防ぐためにも、術前の確認は非常に重要です。
さらに、手術で挿入する眼内レンズ(IOL)の度数を決めるための精密測定も行います。眼軸長や角膜のカーブを詳細に測定し、術後の見え方が快適になるよう慎重に計算します。 これらの検査は短時間で行えるものが多いですが、手術後の見え方に直結する大切なステップです。安全性と仕上がりの両方を確保するために、術前検査を丁寧に受けることが求められます。
まとめ
白内障の診断は、水晶体の濁りの状態だけではなく、視力の変化や他の眼病の有無を総合的に判断するため、複数の検査を組み合わせて行われます。どれも短時間で受けられる検査ですが、正確な診断には欠かせない工程です。
気になる症状がある場合は、早めに検査を受けることで進行状況を把握し、適切なタイミングで治療につなげやすくなります。「最近まぶしい」「見えづらい」といった小さな違和感でも、自己判断せず医療機関の診察を受けましょう。
秋葉原白内障クリニックでは、検査機器を充実させた体制で白内障の診断を行っており、約30分で状態をチェックできる白内障検診にも対応しています。不安や疑問がある方は、気軽に相談してみてください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
