2025年11月25日
紫外線は皮膚だけではなく、目にも少なからず影響を与えることが知られています。特に白内障の方や手術後の方では、まぶしさや光のにじみなどを感じやすくなる場合があり、強い光や紫外線から目を守る工夫が大切です。
本記事では、紫外線が目に与える影響や、白内障とサングラスの関係、手術後にサングラスが果たす役割、そして適したサングラスの選び方について解説します。ご自身に合ったサングラスを安全に選ぶための参考にしてください。
この記事で分かること
- 紫外線が目に与える影響と白内障における考え方
- 白内障や手術後にサングラスが果たす役割
- 白内障の方に適したサングラスの選び方
眼球と紫外線の関係
紫外線は皮膚だけではなく、目にも影響を与えることが知られています。紫外線には主にUVA・UVB・UVCの3種類があり、このうち地上に届くのはUVAとUVBです。特にUVB(中波長紫外線)はエネルギーが強く、長時間浴びると角膜や水晶体などの組織に負担をかけることがあるとされています。
強い紫外線を浴びると、一時的に「雪目」と呼ばれる角膜の炎症を起こすことがあります。慢性的な紫外線曝露は、目の老化や組織のダメージに関係するといわれており、目の健康を守るためには日常的な紫外線対策が大切です。
紫外線を避けることは、目の健康維持に役立つ基本的な配慮の一つです。加齢と共に変化しやすい水晶体への負担を軽減することにもつながるでしょう。つまりは白内障を含む目の疾患に対しても、重要な要素といえます。次の章では、白内障におけるサングラスの役割について詳しく見ていきます。
白内障におけるまぶしさ対策としてのサングラス
白内障は、目の中でレンズの役割を果たす水晶体が濁ることで、視界がかすんだり、明るい場所で光をまぶしく感じたりする病気です。濁った水晶体の内部では光が乱反射し、視界全体が白くぼやけて見える場合があります。そのため、晴れた屋外や夜間の対向車のライトなど、強い光にさらされると「まぶしさ」「光のにじみ」「見づらさ」を強く感じやすくなります。
このようなまぶしさを和らげるために、サングラスを使用するのは有効な方法の一つです。サングラスをかけることで、目に入る光の量がコントロールされ、視界のコントラストを保ちながら快適な見え方をサポートできます。
特に屋外では、日中の直射日光や照り返しによって目に負担がかかりやすくなるため、外出時にはサングラスをかけると安心です。光の刺激を軽減できるため、疲れにくくなり行動しやすくなるでしょう。また夏場や標高の高い地域、海辺などでは紫外線量が増えるため、より注意が必要です。目を直接日差しにさらさない工夫を心がけましょう。
手術後の目を守るためにもサングラスの活用が重要
白内障手術の後も、一時的に光をまぶしく感じやすくなることがあります。これは、手術によって濁った水晶体が取り除かれ、光が入りやすくなるのが原因です。そのため紫外線や強い光を避ける目的で、サングラスの使用が推奨されます。
手術直後は角膜がデリケートな状態にあるので、無理に明るい場所を見るのは避け、医師の許可が出るまでは安静を保つことが大切です。目をこすらない・清潔を保つといった基本的なケアと併せて、サングラスの活用を術後ケアの一環として取り入れるとよいでしょう。
白内障の方に適したサングラスの選び方
白内障の方や手術後の方がサングラスを選ぶ際は「どのような目的で使うのか」を明確にすることが大切です。屋外での紫外線対策や日常生活のまぶしさ軽減など、使用シーンに応じて、適切なタイプは異なります。
大切なのは、光を遮るという機能だけではなく、目にかかる負担を和らげながら自然な見え方を保てるかどうかという点です。そのためには、紫外線カット性能やレンズの性質、形状など、複数の要素を総合的に見て判断することが求められます。
あくまで目の保護を目的とした補助具として、症状や生活スタイルに合わせて選ぶとよいでしょう。最後に、選ぶ際のポイントを4つご紹介します。
UVカット率と可視光線透過率を確認する
サングラスを選ぶ際は、まず「UVカット率」と「可視光線透過率」を確認することが基本です。UVカット率は、紫外線をどの程度防ぐかを示す数値で、99%以上のものを選ぶと紫外線による目への負担を軽減できるとされています。
一方で、可視光線透過率は「どのくらいの明るさで見えるか」を示します。数値が低過ぎると暗く感じて見えにくくなるため、日常使いには15〜50%程度の範囲が目安です。使用環境や目的に合わせて、適度な明るさを確保することが大切です。
レンズの色は濃過ぎないものを選ぶ
レンズの色が濃過ぎるサングラスは、瞳孔が開いて紫外線を取り込みやすくなることがあるため注意してください。白内障の方の場合、サングラスの主な使用目的はファッションではなく「光のコントロール」です。見た目の濃さではなく、UVカット性能が高いかどうかを基準に選ぶとよいです。
自然な見え方を保つには、ブラウン系やグレー系など、明るさのバランスが取れた色合いのものがよいとされています。これらの色合いであればコントラストを保ちつつ、強い光を和らげる効果が得られるでしょう。
ただし症状や生活環境によって適したサングラスは異なるため、どの程度の遮光が必要かは個人差があります。屋外での活動や運転など、使用シーンに応じて、専門スタッフに相談しながら適切な色を選びましょう。
遮光眼鏡や度付きレンズの選択肢もある
まぶしさや光の刺激を和らげるために「遮光眼鏡」と呼ばれる特殊なサングラスが使用されることもあります。遮光眼鏡は、特定の波長の光だけをカットする設計で、見え方を大きく損なわずにまぶしさを軽減できるのが特徴です。
また近視の方は度付きレンズにすることで、視力補正と光対策を両立できます。医師の指導や専門店での調整を受け、自分の視力や生活環境に合ったレンズを選ぶことが大切です。
フィット感と形状にも注目
サングラスは、顔の形にしっかりフィットしていないと、隙間から光が入やすくなり、十分な保護ができない可能性があります。しっかりと紫外線を遮りたいのであれば、頬や眉のラインに沿ったカーブのあるデザインのものや、横からの光を防げるラップアラウンド型のものなどが効果的です。 また長時間着用しても負担が少ない軽量タイプや、鼻パッドの高さを調整できるタイプを選ぶと、装着時の快適さが向上します。購入前には実際に試着し、フィット感や視野の広さを確認するとよいでしょう。
まとめ
紫外線は皮膚だけではなく目にも影響を与えることがあるため、白内障の方や白内障手術後の方にとって、サングラスの活用は大切なケアの一つです。まぶしさや光の刺激を和らげ、日常生活での見え方を快適に保つ助けとなります。
サングラスを選ぶ際は、紫外線カット率やレンズの色合い、装着時のフィット感など、複数の要素を確認することが重要です。自分の目の状態や生活環境に合ったものを選ぶことで、より快適に使用できるでしょう。 なお光のまぶしさなどが長期間気になり続ける場合は、自己判断せず医師に相談しましょう。秋葉原白内障クリニックでは、白内障の症状や術後ケアに関する相談をお受けしています。ぜひお気軽にお問い合わせください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
