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後発白内障とは? 2回目の白内障といわれる理由や再発の可能性について解説

2025年11月29日

白内障の手術を受けた後、確かに見えやすくなっていたはずなのに、しばらく経過してから再び「視界がかすむ」「見えづらくなった」と感じることがあります。「また白内障になったのでは?」と心配になるかもしれませんが、これは「後発白内障」と呼ばれる症状であり、手術の失敗や白内障の再発ではありません。

後発白内障は、水晶体の袋(後嚢)が濁ることで起こるもので、レーザーによる治療で改善するケースがほとんどです。症状の仕組みを理解しておけば、突然の見え方の変化にも落ち着いて対応できるでしょう。

本記事では、後発白内障の原因や症状、治療法、再発の有無について解説します。

【この記事で分かること】

  • 白内障手術後に起こる「後発白内障」の仕組み
  • 主な症状と発症の理由
  • 治療法(YAGレーザー治療)や再発の可能性

2回目の白内障は起こり得ない

白内障は、目の中でレンズの役割を果たす「水晶体(すいしょうたい)」が濁ることで、視界がかすんだり光をまぶしく感じたりする病気です。手術ではこの濁った水晶体を取り除き、代わりに人工の「眼内レンズ」を挿入します。

そのため白内障の手術後は、白内障の原因となる水晶体自体はすでに除去されている状態であり、同じ部分が再び濁ることはありません。つまり白内障が「再発」することはないのです。 なお、眼内レンズは特殊な素材で作られており、長期間使用しても劣化することはほとんどありません。ごくまれに混濁が見られる例はありますが、極めて少数です。

後発白内障とは?

白内障が再発することはありませんが、手術から一定期間がたつと、再び白内障のときと同じような悩みを感じることがあります。この状態は、白内障が再び起きたのではなく、手術後に残された水晶体の袋(後嚢)が濁ることで起こる「後発白内障」と呼ばれる別の現象です。

後発白内障とは、手術後に残された水晶体の袋(後嚢)が濁ることで起こる症状です。白内障手術では濁った水晶体を取り除きますが、眼内レンズを支えるために後嚢という薄い膜を残します。この後嚢の表面に残った細胞が増殖し、白く濁ってしまうことが、後発白内障の症状が現れる原因です。

発症のしやすさは、手術の方法や使用されたレンズの種類、体質などによって異なるとされています。そのため後発白内障は、手術後に自然な経過として起こる可能性のある症状といえます。

後発白内障の主な症状

後発白内障が起こると、手術後に一度は回復した視力が再び低下し「視界がかすむ」「ぼやけて見える」といった症状が現れます。特に、光を強く感じる、夜間にライトがまぶしい、ものの輪郭がにじんで見えるなどの変化が多く見られます。

こうした症状は、先述の通り白内障手術の再発と誤解されやすいものの、実際には後嚢の濁りによる光の通りづらさが原因です。見え方の変化は人によって異なり、ゆっくり進行する場合もあれば、比較的短期間で急に見えづらくなることもあります。

日常生活で見づらさを感じたり、視界が以前より暗く感じたりする場合は、我慢せず医療機関を受診しましょう。検査によって原因を特定でき、必要に応じてレーザー治療で改善を目指せます。

後発白内障の発症を防ぐことは可能?

後発白内障は、手術の方法や個人の体質などが関係するため、完全に防ぐことは難しいです。ただし近年では、発症リスクを減らすための技術的な工夫が進んでいます。例えば眼内レンズの形状を工夫して後嚢との接触を減らしたり、レンズ表面の性質を改良して細胞の増殖を抑えたりする研究が行われています。 また後発白内障が起こりやすい体質や背景疾患も知られており、代表的なケースには以下のようなものが挙げられます。

  • 落屑症候群
  • ぶどう膜炎
  • 糖尿病や糖尿病網膜症
  • 高度近視
  • 硝子体手術後
  • アトピー性白内障
  • 網膜色素変性症

これらの疾患や体質がある人は、後発白内障を発症する可能性がやや高いとされるため、視界の変化を感じた際は早めに医療機関を受診することが大切です。

また発症の有無や時期には個人差があり、手術から数カ月で生じる場合もあれば、数年経過してから起こることもあります。そのため、手術後も定期的に検診を受け、目の状態を確認しておくことが予防と早期発見につながります。

後発白内障の治療法:YAGレーザー治療

後発白内障の治療には「YAG(ヤグ)レーザー治療」と呼ばれる方法で行われるのが一般的です。この治療は手術ではなく、外来として短時間のうちに実施できるレーザー治療です。

具体的には、濁った水晶体の袋(後嚢)の中心部にレーザーで小さな穴を開け、光が通る道を確保します。そうすると濁りによって妨げられていた光が再び通るようになるため、視界のかすみやぼやけの改善が期待できます。 YAGレーザー治療は痛みがほとんどなく、入院の必要もありません。処置は数分程度で終了し、その後は通常の生活に戻れます。

治療後の注意点と経過

YAGレーザー治療の後は、眼圧の上昇や炎症などが起きていないかを確認するため、定期的に検診を受けることが大切です。治療直後は、一時的に視界がかすむ、光がにじむ、黒い点が見える(飛蚊症のような症状)などの変化が現れることがありますが、多くは時間の経過とともに改善します。

治療後は医師の指示に従って点眼薬を使用し、目をこすったり無理に動かしたりせず、安静に過ごしましょう。またまれに眼圧の上昇や炎症、網膜に関する合併症が起こる可能性もあるため、痛みや強いかすみなど異常を感じた場合は、早めに医療機関を受診することが重要です。

レーザー治療は短時間で行える安全性の高い方法ですが、治療後のケアを怠らないことが、良好な視力維持につながります。

後発白内障が2回以上繰り返されることはある?

YAGレーザー治療を一度行うと、濁りの原因となる後嚢の中心部分に穴が開くため、同じ場所で再び後発白内障が起こることはほとんどありません。つまり、通常は「2回目の後発白内障」が発生することはないとされています。

ただし絶対ではないので、治療後も定期的に検診を受け、視界の変化やかすみを感じた場合は早めに医療機関を受診することが大切です。 後発白内障の治療は安全性が高いものの、視力を維持するには治療後の観察が欠かせません。見え方に違和感があるときは自己判断せず、医師の指導の下で適切な対応を行いましょう。

まとめ

後発白内障は、白内障手術の後に再び視界がかすんだり、ぼやけたりすることがある症状です。白内障の「再発」ではなく、水晶体の袋(後嚢)が濁ることによって起こります。

多くの場合、YAGレーザーによる治療で短時間のうちに視界の改善が期待できますが、治療後も定期的に検診を受けて経過を確認することが大切です。見え方の変化を放置せず、早めに眼科で診察を受けることで、適切な対応が可能になります。

もし「また見えづらくなった」とお悩みの方は、白内障治療の症例が多い医療機関に相談するのも一つの手です。秋葉原白内障クリニックでは、白内障手術はもちろん、後発白内障に対するレーザー治療や経過観察も受け付けており、お一人おひとりの目の状態に合わせた診療を行っています。白内障手術を受けた後の視力が低下してきたような気がしている方、後発白内障についてさらに詳しく知りたい方は、ぜひお気軽にご相談ください。

記事監修者について

院長 原田 拓二

眼科医 原田 拓二

医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。

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