2026年2月09日

レーシックを受けた後に白内障が進行し「手術は難しくなるのでは?」「見え方に問題が出るのでは?」と不安を抱く方は少なくありません。
結論からいうと、レーシックは白内障の原因にはなりませんが、角膜の形が変化しているため、白内障手術で使用する眼内レンズの度数計算に影響する場合があります。そのため、レーシック経験者は手術前の検査や情報確認がより重要です。
本記事では、レーシックと白内障の関係、手術時の注意点、レンズ選びの考え方などを解説します。
この記事で分かること
- レーシックと白内障の関係
- レーシック経験者の白内障手術で注意すべき点
- 適した眼内レンズや術後の見え方について
レーシックと白内障はどのように関係する?
まずは、レーシックと白内障の関係について見ていきましょう。
レーシック特有の影響は限定的
レーシックは角膜の表面に行う屈折矯正手術であり、白内障の原因となる水晶体には影響を及ぼしません。そのため、レーシックが白内障を進行させたり、発症リスクを上げたりするという明確なデータはありません。専門団体のFAQでも「白内障との因果関係は確認されていない」と説明されています。
またレーシック後の角膜の状態そのものが白内障の発症メカニズムに影響するわけではありません。白内障は主に加齢による変化で起こるものであり、角膜を削ったことが直接的に水晶体へ負担をかけることはないとされています。
このように、レーシックが白内障のリスク要因になる可能性は極めて低く、医学的にも「特有の影響は限定的」とされています。必要以上に不安になる必要はありませんが、気になる症状がある場合は適切な検査を受けると安心です。
そもそも加齢による白内障の進行は避けられない
白内障は、年齢とともに水晶体が濁っていくことで誰にでも起こり得る目の病気です。主な発症要因は「加齢」であり、レーシックを受けたかどうかに関係なく、年齢を重ねることで進行していきます。
一部の方が「レーシックをしたから白内障が早くなるのでは」と心配されますが、これは誤解であり、レーシック自体が白内障を加速させるという科学的データはありません。レーシック後でも通常と同じように、40代以降から徐々に水晶体の変化が起こり、見えづらさやかすみなどの症状が現れてきます。
そのため「レーシック後だから白内障が進みやすい」わけではなく「加齢に伴う自然な変化」が中心です。見え方に違和感を覚えた際は、早めに眼科で検査を受けることで進行度を把握できます。
白内障手術の難易度には影響する場合がある
レーシック後の目は角膜の形が変化しているため、白内障手術で使用する眼内レンズ度数の計算が通常より難しくなる場合があります。角膜屈折力が変わった状態では、一般的な計算式がそのまま使えないことがあるため、誤差が生じやすいです。
とはいえ、これは手術方法が大きく変わるという意味ではありません。白内障手術そのものの進め方は通常と同様であり、手術時間や方法が大きく変化するわけではありません。ただし、術前検査の段階でより精密なデータの収集や複数の計算式の比較が必要になる点が特徴です。
レーシック歴を医師に正しく伝えることで、適切な検査とレンズ選択につながり、術後の見え方の精度向上に役立ちます。過去の手術情報がある場合は、できるだけ持参するとさらに安心です。
レーシック経験者に適した眼内レンズの考え方
レーシックを受けた目では角膜の屈折力が変化しているため、白内障手術でどの眼内レンズを選ぶかがとても重要になります。 単焦点眼内レンズと多焦点眼内レンズにはそれぞれ特徴がありますが、レーシック後の場合は角膜の特性を踏まえ、より誤差の影響を受けにくいレンズを選ぶことが勧められることがあります。ここからそれぞれの考え方を詳しく解説していきます。
基本は単焦点眼内レンズを選択する
レーシック後の白内障手術では、単焦点眼内レンズを選ぶケースが多い傾向があります。単焦点レンズは構造がシンプルで、多少の計算誤差があっても見え方に大きく影響しにくいという特徴があります。そのため、レーシック後で角膜の形が通常とは異なる場合でも、術後の見え方が比較的安定しやすいとされています。 また単焦点レンズは見え方の予測が立てやすく、術後の満足度が安定しやすいことも理由の一つです。レーシックで角膜の屈折特性が変化していても、単焦点レンズであれば調整しやすく、必要に応じて眼鏡などで補える扱いやすさがあります。見え方の安定性を重視したい方にとって、負担の少ない選択肢といえるでしょう。
多焦点眼内レンズを選ぶ際の注意点
多焦点眼内レンズは、遠く・中間・近くと複数の距離にピントを合わせられる利点がありますが、レーシック後の眼では注意が必要です。多焦点レンズはわずかな屈折誤差でも見え方に影響が出やすいため、角膜の形が変化しているレーシック経験者では適応判断がより慎重になります。 多焦点レンズを検討する場合は、事前の角膜解析や度数計算を入念に行った上で、メリットとデメリットを十分に理解することが大切です。医師と相談しながら、自分の生活スタイルに合ったレンズを選ぶことをおすすめします。
レーシック経験者が白内障手術を受ける際の流れ
レーシック経験者であっても、白内障手術の基本的な流れは通常のケースと大きく変わりません。ただし、角膜の形状が変化しているため、術前に確認すべき情報が増え、検査内容がより慎重に行われる点が特徴です。 ここからは、レーシック経験者が白内障手術を受ける場合の流れを見ていきましょう。
事前に確認しておくべき情報(手術歴・使用した機器など)
レーシック経験者の白内障手術では、術前にどれだけ詳細な情報を共有できるかが術後の見え方にも影響します。特に重要とされるのが、レーシックを受けた年、矯正量、術式(LASIKかPRKか)、さらに使用された機器や施術を行ったクリニック名などの情報です。
レーシック前後の角膜データが残っている場合は、眼内レンズ度数計算の精度向上に大きく役立ちます。術前の角膜曲率、削除量、目標屈折値などが分かれば、計算誤差が減り、より目的に近い見え方を目指しやすくなります。
可能であれば、レーシックを行ったクリニックから過去データを取り寄せることも検討しましょう。こうした情報がそろうことで、白内障手術の品質をより高めることができます。
必要となる追加検査
レーシック後の白内障手術では、角膜形状が通常と異なるため、眼内レンズ度数を正確に計算するための追加検査が必要になることがあります。代表的なのが角膜形状解析で、角膜のカーブや厚みを詳しく評価し、屈折力の変化を細かく把握する検査です。
またレーシック前後のデータがそろっていない場合には、複数のレンズ計算式を比較し、誤差を最小限に抑える方法が採られます。角膜を削った量や屈折力の変化を推測するため、複数の計算結果を総合的に判断することが重要になります。
その他、涙の状態や角膜のカーブの安定性を確認する検査も大切です。角膜表面の状態が整っていないと計測値がばらつくことがあるため、精度を高めるにはこうした検査を丁寧に行う必要があります。
手術当日は一般的な白内障手術と同様
レーシック後であっても、白内障手術そのものの流れは一般的な手術とほとんど変わりません。手術手順や所要時間は通常と同じで、角膜の表面に作られたレーシックのフラップを触ることもありません。手術はあくまで水晶体が対象であり、角膜フラップに刺激を与える工程は含まれないため安心です。
また術後の過ごし方や点眼の方法も通常の白内障手術と同様です。抗菌薬の点眼や保護のための注意事項を守ることで、炎症や感染を防ぎながら回復を進めていきます。 レーシック経験者だからといって特別な術後ケアが必要になることは少なく、基本的には通常と同じ注意点を守れば問題ありません。気になる症状がある場合は早めに相談し、適切な経過観察を受けることが大切です。
レーシック後の白内障手術に関するよくある質問
レーシック経験者が白内障手術を検討するときには
「術後の見え方はどう変わる?」「レーシックの影響は残っている?」といった疑問が多く寄せられます。ここでは、特によくある質問をまとめて解説します。
術後はどうして見え方が安定しづらいの?
レーシック後の角膜は、手術によって形が変わっているため、白内障手術後の視力が落ち着くまでに多少時間がかかることがあります。眼内レンズの度数計算が通常より難しくなる分、術後の見え方が安定するまでに個人差が出やすいことが理由の一つです。
またレーシック前後の角膜データがそろっていない場合には、度数計算の誤差が生じる可能性があります。こうした理由から、術後すぐに視力が固定するわけではなく、時間の経過とともに徐々に見え方が変化していくことがあります。
ただし、これは「異常」ではなく、多くのレーシック経験者に見られる一般的な経過です。手術後は処方された点眼を続けながら、経過観察の中で少しずつ視力が安定していきます。
視力が安定するまでの期間はどれくらい?
白内障手術後の視力が落ち着くまでの期間には個人差がありますが、一般的には数週間から数カ月ほどで安定していくとされています。これはレーシック経験の有無に関わらず多くの症例で共通して見られる経過です。
レーシック経験者であっても、極端に回復が遅くなるわけではありません。ただし、角膜形状の影響で度数の予測が難しい場合は、見え方の微調整に多少時間がかかることがあります。 見え方が安定するまでは焦らず、医師の指示に従って点眼や通院を続けることが大切です。術後の経過に不安がある場合は、早めに相談することで安心して回復を進められます。
レーシックで作られた角膜フラップへの影響は?
白内障手術は、角膜を大きく切開して行う手術ではありません。そのため、レーシックで作られた角膜フラップに触れる工程はなく、フラップが外れたりずれたりする心配はありません。
レーシック後の方も、フラップに関する特別な注意点が必要になるケースはほとんどなく、術後の回復も通常の白内障手術と同じ流れで進みます。
レーシックを受けたことに不安を感じる方は多いものの、実際にはフラップへの影響はほぼないため、安心して手術を検討できます。気になる点があれば、術前の説明で確認しておくとより安心です。
まとめ
レーシックは角膜の屈折を調整する手術であり、水晶体に起こる白内障の原因になるものではありません。ただし、角膜の形が変化していることで白内障手術時の眼内レンズ度数計算が難しくなることがあり、術前の検査やデータ確認がより重要になります。
レーシック経験者では、誤差の影響を受けにくい単焦点眼内レンズを基本に検討することが多く、適切なレンズ選択のためには慎重な検査と過去の手術情報の共有が欠かせません。レーシック前後のデータが残っている場合は、持参することで計算精度の向上につながります。
不安がある場合は、レーシック後の白内障手術に慣れた専門医に相談することが大切です。 秋葉原白内障クリニックでは角膜形状解析等の検査機器も充実しており、レーシック後の白内障手術実績も豊富ですのでどうぞお気軽にご相談ください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
グループクリニックにて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。
