2025年1月07日
そもそも白内障とはなんでしょうか?
白内障は、「目の中の水晶体(すいしょうたい;レンズの働きをする組織)が濁ってしまい見づらくなる病気」です。
この水晶体は主にクリスタリンと呼ばれるタンパク質(主にα、β、γの3種類でそれぞれにサブタイプがあり合計14種類)で構成されており、水晶体嚢(すいしょうたいのう;水晶体を包んでいるふくろ)の中に規則的に並んでいるうちは透明性が保たれているのですが、加齢や紫外線、代謝異常や酸化ストレスなどでアミノ酸の配列が乱れると混濁が生じます。
ですから、加齢だけではなく糖尿病などの代謝異常、アトピー性皮膚炎や鈍的外傷による衝撃でも混濁が生じます。
そして、現代の医学では変性したタンパク質はもとに戻すことができないため、混濁した水晶体を取り除き人工のレンズを目の中にいれることが唯一の治療法となります。
ここで面白い話題として、2015年に研究段階とはいえ「ゆで卵を元に戻す技術」が発見されました。
御存知の通り、ゆで卵は熱によってタンパク質が変性し固くなった常態です。
カリフォルニア大学アーバイン校のGregory Weiss氏らは、
凝固したタンパク質に対して尿素を加えたのち、マイクロ流体薄膜を通すことで機械的圧力を加えると塊がほぐれて元の液状に戻るという研究を発表しました。
ゆで卵が生卵(液状)にもどる、とはなんともすごい技術で水晶体に応用できれば子供の頃のような透き通った眼にもどるかもしれません。
ただ、実用化にはまだまだ時間がかかると思われます。
水晶体の完全な若返りができる未来を想像しつつ、現在の医学で最先端の白内障手術を日々頑張っております。