「単焦点眼内レンズ」は、現在の白内障手術で使用される最も一般的なレンズです。
健康保険が適用される手術になりますので、手術代は健康保険の負担割合に応じた自己負担金で手術が受けられます。
「単焦点眼内レンズ」には、素材や仕様に応じて様々な種類があります。
当院ではアクリル製の着色非球面眼内レンズを第一選択として使用しております。
また、近年では乱視を矯正する乱視矯正眼内レンズ(トーリックレンズ)も登場し、白内障手術で乱視も矯正できるようになりました。
トーリックレンズは通常の眼内レンズより高価なレンズになりますが、当院では適応の患者さんには積極的にトーリックレンズを採用し、術後の見え方が最良のものになるよう努めております。
着色非球面レンズの特徴

非球面着色眼内レンズ
眼内レンズは透明のタイプもありますが、当院では少し黄色い色がついた着色レンズを使用しております。透明なタイプの眼内レンズを使用した場合、術後にものが青っぽく見える『青視症』が起こることがあります。 これは、手術前の元々の水晶体が若干黄色く着色していることによるもので、青視症は特に色を扱う職業の方には大きな影響が出ることがあります。そのため、術後、より自然な色合いで物をみることができます。
また、着色眼内レンズには紫外線に近い波長の色をより吸収する効果があります。水晶体の役割はピント合わせの役割だけでなく、有害光線を吸収・除去する働きも持っています。白内障手術ではその水晶体 を取ってしまいますので、新たに移植する眼内レンズにもこの機能を持たせる必要があります。
その為、着色レンズには加齢黄斑変性症などの紫外線等が誘因と考えられる病気の予防にもなると期待されています。非球面レンズは、球面レンズと比較すると収差(像のゆがみ)が少なく、見え方がクリアになります。特に瞳孔が大きくなる夕方から夜間にかけて、よりクリアに見える利点があります。
乱視矯正眼内レンズ(トーリックレンズ)

トーリック眼内レンズは、乱視を矯正できるレンズとして海外では使用されていました。2009年に日本でも承認され、通常の単焦点眼内レンズ同様に保険適応としての手術が受けられるようになりました。トーリックレンズで矯正できる乱視の範囲は-0.75D~-4.0Dで、ほとんどの乱視はこの範囲に入ります。
トーリックレンズの移植には、術前に眼内レンズ度数を決める段階で複雑な計算を要し、術中にも厳密にレンズの方向を乱視軸に合わせる必要があるため、高度な手術精度が要求されます。当院では高い精度でレンズを移植することに成功し、年間1,500症例前後の件数をトーリックレンズで行っております。
※乱視とは、角膜や水晶体の歪みのため焦点が1つに結ばれず、見え方がぼやけたり、二重に見えたりする状態です。