2026年6月12日

健康診断や人間ドックの結果で「眼底異常」「要精密検査」などと記載されていると、不安や戸惑いを感じる方もいるのではないでしょうか。「見え方に問題がないから大丈夫」と考え、受診を後回しにしてしまうケースも少なくありません。
しかし、目の病気の中には自覚症状がないまま進行するものがあり、放置すると視力低下や失明につながる可能性があります。
要精密検査の判定は、必ずしも重大な病気が確定したことを意味するものではありませんが、異常の可能性が見つかった段階であり、詳しい検査による確認が必要な状態です。
本記事では、健康診断で再検査となる主な原因や疑われる病気、早めの受診が重要な理由について解説します。
【この記事で分かること】
- 健康診断で要精密検査となる主な原因や病気
- 眼科の再検査を放置してはいけない理由
- 眼科で行われる主な精密検査の内容
健康診断や人間ドックの眼科項目で「要再検査」になったら
健康診断や人間ドックで「要再検査」や「要精密検査」と判定された場合は、できるだけ早く眼科を受診することが大切です。結果通知を受け取ると不安になるかもしれませんが、まずは落ち着いて内容を確認しましょう。
要再検査や要精密検査は、病気が確定したことを意味するものではありません。検査の結果、眼底や視神経、眼圧などに何らかの異常所見が見つかり、詳しい検査が必要と判断された状態です。
健康診断は病気を診断するためではなく、異常の可能性を見つけるためのスクリーニング検査です。そのため、精密検査の結果として問題がないと判断される場合もあります。
しかし、自覚症状がないまま進行する病気も少なくありません。仕事や家事などで忙しくても受診を先延ばしにせず、健康診断の結果票を持参して眼科を受診してください。早期発見・早期治療につながる可能性があります。
「要精密検査」を放置してはいけない理由
要精密検査の判定を受けても、症状がないことを理由に受診を見送る方は少なくありません。しかし、目の病気の中には自覚症状がほとんどないまま進行するものがあります。
放置すると治療の機会を逃し、視力や視野に影響が残る場合もあるため注意が必要です。ここでは、要精密検査を放置してはいけない理由を解説します。
自覚症状がないまま進行する目の病気が多い
目の病気は、自覚症状がないまま進行するケースが少なくありません。そのため「見え方に問題がないから大丈夫」と判断するのは危険です。
人は普段、左右の目を同時に使っています。片方の目に異常があっても、もう片方の目が補うため気付きにくい傾向があります。実際に、片目ずつ確認して初めて見え方の違いに気付く方もいます。
代表的な例が緑内障や糖尿病網膜症です。これらは初期症状に乏しく「沈黙の病気」と表現されることもあります。眼底検査で初めて異常が見つかるケースも珍しくありません。
自覚症状の有無だけでは病気の有無を判断できないため、再検査の指示を受けた場合は眼科で詳しい検査を受けることが大切です。
早期発見・早期治療が視力を守る鍵になる
目の病気は、早期発見・早期治療によって進行を抑えられる可能性があります。健康診断の結果を軽視せず、速やかに受診することが重要です。
例えば、緑内障は進行すると視野が徐々に欠けていきます。重症化すると失明に至る可能性もありますが、早期に発見できれば点眼治療などで進行を抑制できる場合があります。
また、糖尿病網膜症や網膜静脈閉塞症も早期発見が重要な病気です。病気によっては、一度失われた視機能を回復できないこともあります。 健康診断の眼底検査は、自覚症状が現れる前に異常を発見できる貴重な機会です。早めに受診することで治療の選択肢が広がり、視力や視野を維持しやすくなるでしょう。
健康診断で指摘される主な症状・診断名と疑われる病気
健康診断や人間ドックでは、視力や眼圧、眼底などさまざまな項目が確認されます。指摘された所見によって疑われる病気は異なるため、結果の内容を正しく理解することが大切です。
ただし、異常所見が見つかったからといって病気が確定したわけではありません。健康診断は病気の可能性を見つけるための検査であり、正確な診断には眼科での精密検査が必要です。
ここでは、健康診断でよく指摘される所見と関連する病気について解説します。
視力低下
健康診断で視力低下を指摘された場合、近視や乱視だけが原因とは限りません。目の病気が背景に隠れている可能性もあります。
代表的な原因として挙げられるのが白内障です。白内障は加齢とともに増加し、高齢者では多くの方に認められます。進行すると視界がかすみ、運転や読書などの日常生活に支障を来す場合があります。
また、加齢黄斑変性や糖尿病網膜症などの網膜疾患でも視力低下が起こります。片目だけで進行している場合は気付きにくいため注意が必要です。
健康診断の視力検査は簡易的な検査です。眼鏡やコンタクトレンズの度数が合わなくなっている場合もあるため、眼科で矯正視力を含めた詳しい検査を受けることをおすすめします。
眼圧異常・高眼圧症
眼圧異常や高眼圧症を指摘された場合は、緑内障の可能性を確認するための精密検査が必要です。
眼圧とは眼球内部の圧力のことです。一般的には10〜21mmHgが正常範囲の目安とされています。眼圧が高い状態が続くと、視神経に負担がかかり緑内障のリスクが高まる可能性があります。
ただし、眼圧が高いからといって必ず緑内障とは限りません。一方で、日本人には正常眼圧緑内障が多く、眼圧が正常でも発症する場合があります。
そのため、眼圧検査だけで判断することはできません。眼底検査や視野検査、OCT検査などを組み合わせて総合的に評価することが重要です。
視神経乳頭陥凹拡大・網膜神経線維層欠損
健康診断の眼底検査でよく指摘される所見の一つが、視神経乳頭陥凹拡大や網膜神経線維層欠損です。どちらも緑内障との関連が深い異常所見として知られています。
視神経乳頭陥凹拡大とは、視神経の出口にあるくぼみが通常より大きくなっている状態です。網膜神経線維層欠損は、網膜内の神経線維が薄くなったり欠損したりしている状態を指します。
これらの所見は、視野障害が現れる前の段階で発見されることがあります。初期の緑内障は自覚症状がほとんどないため、健康診断の眼底写真で偶然見つかるケースも少なくありません。
精密検査では視野検査やOCT検査などを行い、緑内障の有無を確認します。場合によっては定期的な経過観察が必要になることもあります。
眼底出血
眼底出血は、網膜にある細い血管が破れて出血している状態です。健康診断の眼底検査で偶然見つかることも少なくありません。
原因としては、高血圧や糖尿病、加齢黄斑変性などが挙げられます。また、網膜静脈閉塞症などの血管疾患が関係している場合もあります。
出血によって網膜にむくみが生じると、視力低下につながる可能性があります。さらに、不足した酸素や栄養を補うために新生血管が作られることがありますが、この血管は破れやすく、出血を繰り返す原因です
出血の場所や量によっては症状が現れないこともあります。しかし、放置すると大きな出血や視力低下につながる可能性があるため注意が必要です。
眼底出血は目の病気だけではなく、糖尿病や高血圧など全身疾患のサインである場合もあります。必要に応じて内科と連携しながら原因を調べることが大切です。
加齢黄斑変性・黄斑前膜(網膜前膜)
黄斑は網膜の中心にあり、文字を読んだり顔を識別したりするために重要な部位です。この部分に異常が生じると、見え方に大きな影響が出ることがあります。
加齢黄斑変性は、加齢によって黄斑部が障害される病気です。格子状の線が歪んで見える、視野の中心が暗く見えるなどの症状が現れることがあります。病型には滲出型と萎縮型があり、放置すると著しい視力低下につながる可能性があります。
一方、黄斑前膜(網膜前膜)は、加齢に伴う硝子体の変化によって生じる病気です。網膜の表面に残った膜が収縮し、網膜を引っ張ることで物が歪んで見える変視症や視力低下を引き起こします。
どちらもOCT検査によって詳しく評価できます。黄斑前膜は軽症であれば経過観察となる場合もありますが、症状がある場合は眼科で相談しましょう。
中間透光体混濁・透見不明
中間透光体混濁や透見不明は、健康診断の結果で見慣れない言葉かもしれません。どちらも光が網膜に届く経路に異常がある可能性を示す所見です。
中間透光体混濁とは、角膜や水晶体、硝子体などが濁っている状態を指します。最も多い原因は加齢による白内障です。他にも硝子体出血やぶどう膜炎などが原因になる場合があります。
透見不明は診断名ではありません。眼底カメラで網膜を十分に観察できなかった状態を示す検査上の所見です。白内障や角膜混濁などによって眼底が見えにくくなっている可能性があります。
白内障では、視界がかすむ、光がまぶしく感じるなどの症状が現れることがあります。精密検査では散瞳検査や細隙灯顕微鏡検査などを行い、原因を詳しく調べます。
白内障が原因の場合は、手術によって見え方の改善が期待できるケースもあるでしょう。まずは原因を明らかにするため、眼科で詳しい検査を受けることが大切です。
学校の眼科検診で再検査になった場合の注意点
学校の眼科検診で再検査を勧められると「ただの近視ではないか」と考える保護者の方もいるかもしれません。しかし、学校検診は異常の有無を確認するためのスクリーニング検査であり、正確な診断を行うものではありません。
学校の視力検査はA〜D判定で評価されます。B判定以下や左右の視力差が大きい場合は、眼科の受診が推奨されます。視力低下は学習やスポーツなど日常生活に影響を与える可能性があるためです。
また近視だけではなく、斜視や弱視、アレルギー性結膜炎などが隠れている場合もあります。特に弱視は早期治療が重要です。
子どもは見えにくさを自覚していても、うまく伝えられないことがあります。近年は近視の低年齢化も進んでいるため、再検査の通知を受けた場合は眼科で詳しい検査を受けることをおすすめします。
眼科の再検査で行われる主な精密検査
健康診断で異常を指摘された場合、眼科では原因を詳しく調べるための精密検査を行います。検査内容は指摘された所見によって異なりますが、多くは短時間で終了し、体への負担も大きくありません。
主な検査内容は以下の通りです。
- 視力検査:裸眼視力や矯正視力を確認する
- 眼圧検査:眼球内部の圧力を測定する
- 眼底検査:網膜・視神経・血管の状態を観察する
- 視野検査:視野の欠けや異常を調べる
- OCT検査:網膜や視神経の断面を詳しく確認する
眼底検査では、網膜や視神経の状態だけではなく、高血圧や糖尿病による血管の変化も確認できます。緑内障が疑われる場合は、視野検査やOCT検査を組み合わせて評価します。
必要に応じて散瞳検査を行うこともあります。検査後は数時間ほどまぶしさや見えにくさが続く場合があるため、自動車の運転は控えるようにしましょう。
検査によって必ず病気が見つかるわけではありません。しかし、異常の有無を正確に確認し、必要な治療や経過観察につなげるために重要な役割を果たします。
まとめ
健康診断や人間ドックで眼科の再検査や要精密検査を勧められた場合は、自覚症状がなくても放置しないことが大切です。
緑内障や糖尿病網膜症などは、早期発見・早期治療によって進行を抑えられる可能性があります。一方で、病気によっては失われた視機能を取り戻すことが難しい場合もあります。
また、高齢者では白内障が背景に隠れているケースも少なくありません。正確な診断には、精度の高い検査が欠かせないでしょう。
健康診断は将来の視力を守るための重要な機会です。見え方に違和感がなくても、再検査を勧められた場合は眼科の受診を検討してください。
秋葉原白内障クリニックおよび分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所では健康診断後の精密検査、緑内障検査、眼底検査、OCT検査など最新の医療機器を用いて診断を行っております。疾患によっては専門のエキスパート医師による診察や内眼手術などワンストップで診断から治療まで行う事が可能です。
健康診断や人間ドックで眼科受診を勧められた際にはどうぞお気軽にお問い合わせください。
記事監修者について

眼科医 原田 拓二
医療法人社団廣洋会理事長
本院・秋葉原白内障クリニックと分院・アイクリニック高輪ゲートウェイ診療所にて毎年2,000人を超える白内障患者の診察に従事。
また、年間700件以上のYAGレーザー治療(後発白内障)を行い、あらゆるタイプの白内障の術前・術後診療に精通する。


